ヒーローの性*轟焦凍



「っあ、ショートくん!」



現場はまさに火の海で、周りの炎を氷で鎮火させる。



血相を変えて俺を見つけたのは、卒業以来の麗日だ。




「麗日…救助か」



「うん、ビルとか崩れ落ちて動けない人が沢山いるの。うちの事務所もさっき到着したんやけど…」




麗日は泣きそうな顔で俺を見上げる。




「…どうした」



何か言いたげなその表情。



察したくはない。何を言われるのか怖くなって心臓がドクドクと脈打つ。





「楓ちゃんが…さっき運ばれてった」




どうして、当たらないでくれと願うことばかり的中するんだ。



一気に血の気が引いて目の前の麗日がぼやつく。




「ヴィランにやられたんやって…凄く重傷みたい、ショートくん、病院に…」




麗日が言っていることを頭で理解するのに時間がかかる。



…どうして、俺は近くで守ってやれなかった。



運ばれた時にどんな状況だった…どうして他にヒーローが居なかったんだ。



いや、俺がそもそも早くに来ていれば…




「ショート!勝手に行動するなといつも言っているだろう!」




「…」




「エンデヴァー!あの、楓ちゃんがヴィランに襲われて重傷なんです…!」



麗日がエンデヴァーに説明する。



「楓…?ショートの彼女か」



楓はエンデヴァーと何度か話したことがある。



家に来たこともあるし同棲している事も知っている。




「ショート、病院に行け」



「は…?」




「今のお前がここにいても役に立たん。早く行け」




「…わりぃ」




麗日から病院を聞き、そのままその場を後にした。




頼むから、無事でいてくれ。



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