ヒーローの性*轟焦凍
焦凍くんとは付き合って2年目になる。
雄英を卒業して2年、今ではお互いにプロヒーローとして忙しい日々を送っている。
プロヒーローと言っても焦凍くんはトップレベル、私は何処にでもいる地元のヒーローみたいなものだ。
最近一緒に住み始めたけれど事務所は違うし、焦凍くんの方が格段に忙しく殆ど会えない日が続く。
「楓ちゃん、お疲れ様」
「あっ、お疲れ様です」
帰る家は同じなのに、会えないというのは寂しい。
けど仕方ないことだよね、焦凍くんは名も知れてるし期待されてるヒーローだもん。
そんな彼と付き合えてるだけでも光栄な事だ。
〜♪〜♪〜♪
事務所を出て直ぐに鳴る携帯。
ポケットから取り出して確認すると、焦凍くんからだった。
『今日も遅くなる。先に寝ててくれ』
文面を確認して、短く息を吐く。
…仕方ない、仕方ないよ。
焦凍くんだって忙しいんだもん、わがまま言えない。
「…今日、記念日なんだけどなぁ」
分かっている、ヒーロー活動に私情は挟めない。
人の命の方が大事に決まっている。
けれどやっぱり今日だけは、と期待してしまう自分もいるのだ。