立海の日常*立海レギュラー
「もう、狭くなるからキッチンに入ってこないで!ほら出て!」
仁王もブンちゃんも赤也も桑原くんもまとめてキッチンから追い出す。
こんだけ人数がいるとうるさくなるのは仕方ないけど、揉め事は他所でやってほしい。
「だって相澤先輩、ずるいっすよ!何で残しといてくれないんすか!」
キッチンのカウンター越しに赤也はまだギャアギャアと叫んでいる。
「ブンちゃんが残すと思うの?私だって食べてないんだからね」
「それはそうっすけど…」
「もー分かったよ。今度また作るから…そしたら赤也に1番最初にあげるから」
「え…ま、まじっすか!?約束っすよ!」
「はいはい」
本当に、赤也は子供みたいだ。
すぐ拗ねて、すぐに機嫌が治る。そういう所が赤也のいい所でもあるけど…
「へぇ、いいね。俺も興味あるなそれ」
幸村くんが赤也の隣で頬杖をつきながら私を見つめる。
「ゆ、幸村くんにもあげるよ」
「ふふ、それは楽しみだな」
「ちょ、部長!それはー」
「何?赤也」
「…なんでもないっす」
「鍋出来たからそこあけてー!ほら、赤也どいてどいて!」
わちゃわちゃとしている中に鍋を置いて人数分の箸を配る。
「はい、真田くん」
「あ…あぁ」
真田くんは未だ気まずそうに私から箸を受け取る。
「まだ反省してるの?もういいってば」
「何の話だ、相澤」
柳くんの質問に、サラッと答えてしまったのが間違いだった。
「あぁ、部活の時着替えてたら真田くんが間違えて入ってきて…」
言い終わる頃、しまったと思い皆を見渡す。
案の定皆は目を大きく見開いて真田くんを凝視する。
「…弦一郎」
「説明しろぃ」
「ま、待て!わざとではない!あれはー」
「真田副部長!どこまで見たんすか!」
「真田も男やのう」
「詳しくお聞きしたいですね」
「は、話すことなど何も無い!」
ザワザワと皆が真田くんを問い詰める中、私は桑原くんと2人で出来たての鍋をつついた。
「桑原くん、そこのお肉、もういいよ」
「お、さんきゅ」
外では、また雪が再び降ってきていた。
Fin