立海の日常*立海レギュラー
び、びっくりした…まさかこんなタイミングで真田くんが入ってくるなんて。
でも鍵を閉め忘れていた私も悪いよね、今のことは忘れよう。
急ぎめに制服に着替えてネクタイを雑に結び扉を開けると、すぐ横で真田くんが待っていた。
「真田くん、お待たせ」
「む…うむ」
真田くんはバツが悪そうに部室に入り、自分の用事を済ませる。
「相澤…その、すまなかった。配慮が足りなかった」
「え?いいよいいよ、私も鍵かけてなかったし…こんな時間に着替えてると思わないよね」
「そうだとしても、いきなり開けた俺にも非がある。面目ない」
背の高い真田くんが申し訳なさそうに私を見下ろす。
その姿が大きい犬みたいで、少し可愛い。
「ふふ、気にしないで。私も気にしてないから」
こう素直に謝ってくれる真田くんに怒る気などしない。
わざとじゃないのは明白だし、そもそも下着姿を見られて騒ぐような性格でもないのだ。
…赤也ならちょっと怒ってたかもだけど。
「…そうか。少しは気にして欲しいのだがな」
「へ?」
「いや、こちらの話だ。俺は部活に戻る」
真田くんはそれだけ言うと自分のラケットを持って部室を出ていく。
再び誰もいなくなった部屋で、私はボーッと部活が終わるのを待っていた。
そのうち段々眠くなり、ベンチの端っこに座って壁にもたれながら寝てしまった。