立海の日常*立海レギュラー
「そんじゃ、行くかな。ジャッカル行くぞぃ」
「俺もかよ…じゃあな、相澤」
「うん、頑張ってね」
ブンちゃんは立ち上がると桑原くんを連れて部室を出ていく。
ブンちゃんがいた所には、クッキーが入っていた空の袋が置いてあった。
「あぁ〜、やっぱり全部食べられた…」
ブンちゃんの事だから遠慮なんてしないとは思っていたけど。
私も味見しかしてないのに…今日の帰り食べながら帰ろうと思ってたのにぃ…
「甘い匂いがするな」
ガックリと項垂れている私の後ろで、柳くんの冷静な声でハッと顔を上げる。
「あ、あぁ…ブンちゃんと桑原くんにクッキーをあげたの。調理実習で作ったやつ」
全部食べられちゃった、と空になった袋を見せる。
「丸井にまた集られたのか。仕方の無い奴だな」
「ブンちゃんは甘いものに対する嗅覚が異常だからね。まぁ、疲れて糖分が欲しくなるのは分かるけど」
「お前はマネージャーとしての仕事をしっかりとこなしている。丸井の世話まで焼く必要はないんだぞ」
「世話というなら、ブンちゃんより赤也の方がやいてるかも」
赤也は後輩という事もあり自分に対しての管理能力は皆無。少年がそのまま大きくなったような性格なので振り回されることが多い。
「確かに、そうかもしれないな」
柳くんが少し笑い、私もつられて笑顔になる。
「あ、外雪まだ降ってた?」
テーブルを拭いていた布巾を洗い、冷たい水を絞る。
「あぁ。少し積もっている」
「えぇ〜、そっか…帰り大丈夫かなぁ」
「問題ないだろう。帰りまでにやむ確率は96%だ」
「えっ、そうなの?」
「あぁ」
柳くんの予想はいつも外れないし、それなら大丈夫か…良かった。