立海の日常*立海レギュラー
…貸してくれるなら、素直に行為に甘えよう。
仁王のブカブカなジャージに腕を通し、指先だけを袖から出す。
あー、大分暖かい…こりゃ今度ジュースでも奢らないとな。
時々強く吹く風に目を細め、部員のみんなの飲み物を用意する。
「相澤さん。少しよろしいですか」
「ん?柳生くん、どうした?」
「フェンスで腕を切ってしまって…大したことは無いのですが、消毒だけでもしておこうかと」
柳生くんは申し訳なさそうにジャージの袖をまくり私に見せる。
そこからはドクドクと血が流れ出ていた。
「ひっ!それ、全然大したことあるよ!座って!」
「すいません。お手数かけます」
柳生くんをベンチに座らせて部室から救急箱を取ってくる。
「これ洗った?」
「はい、先程」
「なら消毒しちゃうね」
切り口を消毒して、軟膏を塗りガーゼで保護をする。
「これで一応は大丈夫だけど、痛みが長引いたり腫れたりしたら病院に行ってね?」
「あぁ、ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ…」
柳生くんはこういうの我慢しそうだから心配だなぁ。
私も気をつけて様子を見ていかなきゃ…
「おや?その服は仁王くんのですか?」
救急箱をしまい戻ってくると、ジャージに気づいた柳生くんが名前の刺繍に目線を向けた。