お見舞い*千歳
「あ、あれは…えっと」
「熱があっと、誰にでもするとね?」
「し、しないよ!千ちゃんだけ…」
慌てて首を振り誤解を解く。
誰にでもあんな事しているわけが無い。そもそもあれが私のファーストキスだ。
「…楓、もう1回してくれんね」
「え」
「ダメやと?」
少し甘えた声で囁かれ、ゾクッと母性本能が擽られる。
本当に、猫みたいだ。
千ちゃんの頬に両手を添えると、千ちゃんは目を閉じた。
形のいい薄い唇にそっとキスをする。
ちゅ、と音を立ててすぐに離れた私に千ちゃんは優しく微笑んだ。
「むぞらしか」
「〜〜もういいから!」
「やっと実ったばい、離さんとよ」
少年ぽく笑う千ちゃんに、つられて私も微笑んだ。
数日後、今度は千ちゃんが熱で学校を休んだ。
Fin