お見舞い*千歳
「…千ちゃん」
ずっと、傍にいてくれたんだ。
千ちゃんのふわふわな髪をそっと撫でる。
「ん…」
違和感があったのか、千ちゃんは薄く目を開けた。
「あ、起こしちゃった?ごめんね」
千ちゃんの頭から手を離すと、状況を理解したのかすぐに上半身を起こした。
「楓、具合はどうね?熱はー」
千ちゃんの手のひらがおでこに当たり、熱を測られる。
相変わらず冷たい手が心地いいけど、あの時のような気だるさはない。
「…熱、下がっとるね。安心したばい」
ほっとした様子で千ちゃんは眉を下げる。
本当に安心したのか、はぁ〜と深く息をついた。
「ごめんね千ちゃん、心配かけて…」
私は部屋の電気を付けて携帯を見た。
わっ…もう9時だ。大分寝ちゃったな。
「ごめん千ちゃん、こんな時間まで…」
「気にせんでよか。俺も寝とったけんね」
「…千ちゃん、帰る前に…聞いて欲しいことがあるんだけど」
あれは…夢じゃないよね?
思い出しただけで顔から火が出る程恥ずかしい。
「…俺も言いたかことあるけん」
「え?千ちゃんも?」
千ちゃんは少し目線を伏せて何か考える素振りを見せたけど、真剣な表情で私をじっと見つめた。
「楓の事が好きったい。付き合ってくれんと?」
「……へ」
「…返事ば聞かせて」
予想もしていなかった言葉にフリーズする。
千ちゃんが私のことを…?