お見舞い*千歳
「っ!?か、楓っ」
合わせた唇は冷たくて、それがまた心地よい。
近くで驚いて目を見開く千ちゃんが愛おしくて…再び自分からキスをした。
「っ、ん…」
抵抗しない千ちゃんの唇を好きなように啄む。
最初は冷たさを求めていたけれど、段々と千ちゃんの唇も熱を帯びてきた。
こんな事をして、後で怒られるかもしれない。もしかしたら絶交されるかもしれない。
けど今だけは、己の理性に打ち勝つことはできなかった。
「ふ、…っん…」
自分が満足して唇を離そうとした瞬間、千ちゃんの腕が後頭部にまわる。
「っん…!?」
私が離れるのを許してくれず、今度は千ちゃんから貪るようなキスが落とされる。
千ちゃんは私がしたキスとは違い、舌を使った深く長いキスだ。
「せ、千ちゃんっ…んあ、」
ちゅ、ちゅっ…と唾液の交わる音だけが響く。
顔が熱いのが、熱のせいかキスのせいか分からない。
やっと唇が離れた頃には、私の息はかなり上がっていた。
「楓の口ん中、熱かね」
「せ、千ちゃん…」
「煽ったのは楓ばい。悪か子たいね」
目の前で悪戯に笑う千ちゃんは、私の知っている優しい千ちゃんとは違うように見えた。