お見舞い*千歳
「楓!」
私の体は千ちゃんにすっぽりと包まれており、頭上から千ちゃんが心配そうに顔を覗く。
「千ちゃん…」
「楓、大丈夫ね?怪我はなかと?」
「大丈夫…千ちゃん、ごめんなさい」
「楓が無事で何よりたい…」
千ちゃんは深く息を吐きながら安心したように私の頭を撫でる。
…千ちゃんの心臓、バクバク言ってる。
「ごめんね、千ちゃん…ありがとう。千ちゃんは怪我してない?」
「いっちょん心配なか。体は丈夫やけん」
優しく微笑む千ちゃんに、ドキッと心臓が高鳴る。
さっきから、頭も心臓もグルグルとしている。
「千ちゃん…」
「体、たいぎゃ熱かね…また上がってきたとよ。熱、測ってみんね」
千ちゃんの冷たい手が頬を包み、そのひんやりとした手に思わず自分の手を当てて口元へ持っていく。
「っ楓…」
千ちゃんは驚いて手を震えさせる。
…なんだろう。熱が出て、おかしくなってるのかな。
「…楓?どげんしたと…?」
千ちゃんにドキドキして、堪らない。
緊張しているのか体を強ばらせている千ちゃんの首に両手をまわし、自分の唇を千ちゃんの口に合わせた。