ペテン師の技*仁王
「賭け…ですか?何を…」
「楓、ドラゴンタイガーは知っとるか?」
ナチュラルに名前をまた呼ばれたことにドキッとするが、触れないように首を振る。
「いえ…」
「単純に、HIGH & LOW…数字の大きい方を引いた方が勝ちじゃ」
ちなみに2が最弱な、と付け加える先輩。
「あ、なるほど…」
「今から俺も1枚引く。強い方が相手の言う事を聞けることにしようか」
何故だか急に始まったゲームに、ゴクリと喉を鳴らす。
…なんだろう、ただのゲームなのに緊張する。
仁王先輩はこういうゲームに強そうだ。
「…イカサマしないでくださいよ?」
「こればっかりは運じゃ」
くく、と笑った先輩は手札の中からカードを1枚引き抜く。
勝った方が、何でも…
「私は…」
持っていたカードをペラっと表向きにする。
私の引いたカードは、クイーンだった。
「っ…12です!」
これは、かなり強い方だ。
これに勝てるのは、13とAのみ。
確率的にも、もう勝ったようなものだ。