ペテン師の技*仁王
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ドン、ドンドン…
カランコロン
神社に近づくにつれ、お祭り特有の音がそこら中で響き渡っている。
周りにも、浴衣姿の人達が増えてきた。
一応、浴衣…着てきたけど。
変じゃないかなぁ…お母さん張り切って髪の毛もやってくれたけど、この飾り派手じゃないかな。
仁王先輩…何か言ってくれるかな。
「え、やだぁ!雅治じゃん!」
神社の石段の上で、一際大きな声がして顔を上げる。
そこには階段の隅で団扇を持って座っている、浴衣姿の仁王先輩がいた。
「っ…!」
仁王先輩が、浴衣着てる…!
黒にグレーの帯、少しはだけた胸元から覗くシルバーのネックレスがいつもより色っぽい。
まさか仁王先輩が浴衣を着てくるなんて思ってもみなかった。
ドキドキとうるさい心臓を抑え、何となく姿を隠す。
「雅治がこんな所来るなんて意外すぎ!」
浴衣姿の女の人が、仁王先輩に寄りかかっている。
あの人…確か、同じ学校の先輩で美人で有名な人だ。