ペテン師の技*仁王
「えぇ!OK貰ったの!?」
帰り際、ゆっ子と2人並んで歩く。
「うん…多分」
「多分って何よ。良かったじゃーん!」
バシバシと私の背中を叩くゆっ子に苦笑いを浮かべる。
気まぐれな仁王先輩の事だから、その場のノリでOKしただけだと思う。
「そうなったら浴衣着なきゃね」
「え?浴衣…」
「え、まさか私服で行くつもり!?駄目だよ浴衣着なきゃ!」
「そ、そっか…」
浴衣、何処にしまったかな…お母さん着させてくれるかなぁ。
「あ〜いいなぁ、羨ましい。私も今日弟と祭り行くけど楓見かけても声はかけないからね」
がんば!と背中を押してくれたゆっ子は、何だか私より楽しそうだ。
「うん…じゃあね」
ゆっ子に別れを告げて、家に帰った私は早速夜に向けて押し入れの浴衣を引っ張り出した。