ペテン師の技*仁王
「仁王先輩」
ジリジリとアスファルトから陽炎が出ているような猛暑。
決まってあの人はいつもここに居る。
「またお前さんか。今日はどうした」
屋上の、屋根の日陰の所で横になり寛いでいる仁王先輩。
ここが先輩の好きな場所だと分かり、私は度々遊びに来ている。
「先輩、いつもここにいますよね」
「ここが1番涼しいんじゃよ。お前さんも分かっている癖に」
何度も来とるしのぉ、と口元を上げる仁王先輩に見上げられ、何も言えず隣に腰を下ろす。
「…仁王先輩、彼女と別れたって…本当ですか?」
「彼女?…あぁ、最近一緒におった奴か。あれとはそもそも付き合っとらん」
「…身体だけの関係ってやつですか」
嫌味混じりにボソッと呟く。
「お互い干渉しないのをあっちも望んとった」
…仁王先輩はいつも女の噂が耐えない人だ。
あの人と付き合っている、二股している、不倫している…全て噂だけど仁王先輩にも原因がある。
「なんじゃ、ヤキモチか?」
「…」
この男のフェロモンには、どうも色気がありすぎて性的だ。
仁王先輩のこのオーラに包み込まれたら沼にハマってしまうようなものだ。
「冗談、言わないでくださいよ。私は自分を大事にしてるんです」
「はは、そーかそーか。それがいい」
汚れた大人になるなよ、と仁王先輩はケラケラ笑う。
「仁王先輩、お祭りとか興味ありますか?」