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お化け屋敷*立海(前編)



「?どうしたの?」


肩に置かれたブンちゃんの手。


何も言わずに私の顔をジッと見てくるブンちゃんに首を傾げる。



「どうしー…」



私の顔に何かついてるのかな、と顔を上げた瞬間近づいてきた影に何もできないまま唇が重なった。



その柔らかい感触に思考が停止する。



え…今、私…キス、されてる?



ゆっくりと離れた唇に、なすすべなくブンちゃんを見上げる。



「な…な…」



「報酬、貰うって言ったろ」



「は…はぁ!?」



悪びれもせず不敵に笑う様子に、思わず腰が引ける。



「わ、私ファーストキスだったのに…!」



「お、そうなの?ごちそーさん」



益々にこやかに表情を緩めるブンちゃんにワナワナと拳を振り上げる。



「もー!最低!どう責任とってくれるのよ!」



「責任ならいつでもとってやるよ」



ポカポカと殴る私を窘めながら軽く言ってみせるブンちゃんに余計怒りがこみ上げてくる。



「じゃあとってよね!責任」



どんな責任をとってくれるのかしら、と顔を見上げると不意に手を掬われて薬指にキスをされた。



「お前と結婚、してやるよ」



「…は、はぁ!?」



「ここ、予約しといたから。忘れんなよ」



それだけ言うと、ブンちゃんはいつも通りの表情に戻り出口に行ってしまう。


あの、いつも偉そうで自信家なブンちゃんがそんなことを言うなんて…あり得ない。本気で言ってるの…?


でも、冗談でキスなんてする人じゃないことは分かってる。それにしてもいきなり結婚なんて…付き合ってもないのに、飛躍し過ぎだ。



「楓ー、行くぞぃ」



「…う、うん…」



その後も、ブンちゃんに言われた言葉を考えながら一日を過ごし気づけばそのことで頭がいっぱいだった。



結婚てなによ、結婚て…しかも、してやるって…ブンちゃんらしいと言うか…まずは付き合ってからでしょうが。



自分とブンちゃんが付き合った時の事を想像して、意外と嫌じゃない自分がいることに気づきそれから変に意識してしまう日々が続いた。



その後当然のようにスキンシップをとってくるブンちゃんに困惑しながらも、自然と付き合うようになるのは時間の問題だった。



丸井ブン太END





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