お化け屋敷*立海(前編)
「は、はぁ…?」
ヒュー…
赤也の告白と周りの怖い効果音がミスマッチ過ぎて、ハッと我に返る。
驚きすぎて、怖いこと忘れてた…今、私告白された…?
「あ、赤也…とりあえず行こうか…つかえちゃうといけないし…」
て、ていうか私今赤也にキスされた…?
一応、ファーストキスだったんですけど…告白する前にキスしてくるって、アリなの…!?
いやでも、あんなの避けようがなかったし…
「先輩!」
グイッと腕を引かれて、赤也が慌てたような声を出す。
「先輩、目の前壁っすよ。ぶつかる」
「あ、え?あぁ…ご、ごめん」
「……先輩、もしかして意識してる?」
「っ!」
バッと赤也を見上げれば、ニヤニヤと嬉しそうに私を見下ろしていて。
「し、してない!」
「挙動不審ッスよ。もしかして、俺にキスされて嫌じゃなかった?」
「は、はぁ!?な…」
「良かった。先輩に絶交とかされたらどーしよって思ったけど、割といい反応で」
「ち、ちが…っ!」
「強行突破でいきますよ。先輩が俺の事好きになるまで、強引に」
再び私の手をとった赤也が嬉しそうに笑い、そのまま何も無かったかのように歩き出す。
「ちょ、ちょっと赤也!私はー」
「先輩が俺の彼女になる日が楽しみっす」
まるで私の話を聞いてない赤也が、お化け屋敷をルンルンと歩く。
突然の事過ぎて怖さはなくなったけど、別のことで頭を悩まされる日々がこれから始まる事になる。
切原赤也END