お化け屋敷*立海(前編)
その少し怒ったような表情に、訳が分からなくて赤也から手を離す。
「私のことで赤也がムカつく方が意味分かんないよ。もういい、行こー」
さっきはちょっとかっこいいって思ったのに、取り消してやる。
赤也から距離をとって1人で歩こうとした瞬間、体を壁に押し付けられて手を掴まれた。
「っなにー」
「鈍感な先輩が悪いんすよ」
混乱して赤也を見つめる間もなく、近づいてきた唇がそのまま重なり合う。
「っ!?ーっ、ん」
意味が分からない、何でいきなりキス…っ
抵抗しようと力を入れても、それ以上の力で押さえつけられてビクともしない。
「っん、う、赤也っ…」
ぶつかり合うようなキスで、酸素を吸い込む暇もない。無我夢中になっている赤也を止める術を考えながら受け入れることしか出来ない。
「っ〜〜!」
極力動く足を思い切り助走をつけて、赤也の股間めがけて振り上げる。
「っー!いっ…てぇ」
「っはぁ、はぁっ、…」
赤也がうずくまると同時に離れた唇に、ようやく酸素を取り込み呼吸を整えることが出来た。
「さ、最低!いきなり、…」
「すんません。無理やりしたのは謝ります…でもこうでもしなきゃ先輩分かってくれねぇと思って」
「は、はぁ…?」
「先輩が好きです。すっげー好き」
「……え…」
私の驚く顔を見て、ほらやっぱりと赤也は呟く。
「先輩、俺の気持ちなんて微塵も感じてなかったすよね」
「…」
「俺本気っすよ。先輩が誰を好きでも、ぜってー俺の方振り向かせるから」