お化け屋敷*立海(前編)
辺りは真っ暗で障害物もあるのに、赤也はそんなの気にせずひょいひょいと進む。
「赤也っ、待ってよ早いって…」
「あぁ、すんません!先輩、はぐれないように手でも繋ぎます?」
「ん?うん…」
「っ!」
はぐれるより全然いいと思って迷いもなく赤也の手を握る。
「…これは役得だな」
「赤也、急に大声とか出さないでね…」
「大丈夫ッスよ。そんなことー」
ザーーーッ!
「うおっ」
「ぎゃーーー!なに!?」
「いてぇ!先輩!タンマタンマ!」
「いやーー!」
「先輩!走ったら危ないっすよ!」
暗闇で大きな音にパニックになってしまい、赤也から逃げるように1人で走ってしまう。
「先輩!!」
「っ!」
ガシッと腕を掴まれて、後ろに引き寄せられる。
そのまま赤也に抱きしめられて、赤也の鼓動が耳に触れその場にしゃがみこんでしまった。
「はぁっ、はぁ…」
「先輩、大丈夫すか?落ち着いて」
「はぁ……う、うん…」
息が上がった呼吸を整えていると段々落ち着いてくる。
赤也がずっと背中を撫でてくれて、状況を飲み込んで整理出来た。
「ありがとう、赤也…」
「怪我とかないっすか?」
「うん、大丈夫」
「良かった。急に走らないでくださいよ、危ねーし…」
「ごめんね…」
「俺が、先輩守ってやるから」