お化け屋敷*立海(前編)
何も言わない柳と真田に助けの視線を送ると、それに気づいた柳がゆっくりと口を開く。
「俺と居るとイレギュラーな事が起きることは無いぞ」
「え、」
口元を上げた柳に、柳もそっち側かと気付かされる。
「さ、真田…真田は行かないよね?」
腕を組んだまま苦い顔をした真田が、気まずそうに目線をそらす。
「俺は別に…どっちでも構わん。お前が行きたいと言うのなら、付き合おう」
「い、行きたくはないのよ!」
「楓。ここだけの話だけど」
そばに居た幸村が、コソッと私にだけ聞こえるように話しかける。
「この間スコア表の補充、忘れてたよね」
「っ…」
「ボールに空気入れてなくてそのまま部活中にー」
「あっ、あー!やっぱりお化け屋敷行きたいかもお」
幸村からバッと距離をとり、全員がこちらを振り返る。
「お、行く気になったか」
「俺とですよね?先輩」
「俺だろぃ」
全員と1回ずつ、なんて行けないし…全員で入るのは皆が納得しなさそうだ。
誰か1人、選ぶしかない。