俺様*跡部
「っちょっと、やめてっ…!」
「お前がYESと言うまでやめねぇぞ」
「ちょっと跡部、私はまだ聞きたいことが…!」
首筋に顔を埋める跡部の肩をグイグイ押す。
「何だ。言ってみろ」
「卒業してからって…跡部、いつから私のこと好きなの…?そもそも、私のどこが…」
チリッ…と首に鈍い痛みが走り、感じたことの無い違和感に顔を歪める。
「お前は自分を過小評価し過ぎだ。言っておくが、学生時代お前を狙っていた奴を俺は大勢知っているぞ」
「そんな、わけ…」
「まぁお前は鈍感だからな。無理もねぇが…強いて言うなら、他人に決して弱みを見せないお前が好きだ」
跡部に好き、と言われて何も返せなくなる。
顔が真っ赤なのに気づいて跡部が上から満足そうに笑った。
「お前のそういう表情も、悪くねぇな」
跡部がスルリと私の太腿を撫でる。
「っ…私、まだYESって言ってない…!」
「構わねぇよ。それも、時間の問題だ」
跡部には私の考えていることが全てお見通しなのだろう。
余裕そうに笑顔を作った跡部に、私は力なく身を任せた。
身分が違いすぎるとか、付き合ったとしても会えない日々が続いたり彼の周りの女の子に嫉妬をするんだろうな…とか考えてしまうことは沢山ある。
けど今は仕事のこともどうでもいい。
ただ目の前の跡部に迫られて、嫌な気がしていない時点で彼の勝利なのだ。
このまま彼に堕ちていくのが正解なのかは分からないけど、優しい触り方に涙が出そうなほど安心した。
「…跡部」
「何だ」
「YES…って言ったら、どうする…」
「くく、上出来だ」
跡部が満足そうな表情を浮かべるから、私もつられて目を細めた。
それから彼と正式な付き合いが始まり、私の生活は一変してストレスのない毎日を送れる日々に、感じていた頭痛も治ってしまった。
Fin