俺様*跡部
「っ…こ、困るのは私じゃなくて貴方よ!」
「ほぉ?何で俺が困るんだ」
「へ…だって、跡部には…その、婚約者とかいるでしょう」
跡部ともなれば婚約者の1人や2人、それでなくても海外に1人ずつガールフレンドが居そう。
こんな男を放っておくはずない、きっと数多の美女からお誘いを受けているはず。
跡部となら一夜限りでも…と、思う人は星の数程いるのかもしれない。
「俺が決めた事に文句言う奴はいねぇよ」
「…どういう意味?」
「こういう事だ」
ソファーに座っていた跡部が立ち上がり、こちらに近づいてくる。
思わず後退りをしても、すぐ後ろがベッドでそのまま追い詰められるように倒れてしまった。
「っ」
大きすぎるベッドに、信じられないくらい柔らかいシーツに体が沈む。
その上から跡部が覆い被さってきて、手首を掴まれ身動きが取れなくなった。
「あ…とべ」
何が起こっているのかが分からずただ彼を見つめると、跡部も真剣な顔で私を見下ろす。
「…お前、綺麗になったな」
碧い瞳が私を捉えて逃がさない。
その顔立ちの綺麗さに目が離せずにいると、ゆっくりと近づいてきた唇が静かに合わさった。