俺様*跡部
「はい、どーぉぞ」
カチャン、と少し乱暴に跡部の前にカップを置く。
ソファーに座りながら足を組んでいる跡部を横目に、デスクに座りパソコンと睨めっこをする。
「余裕ないのか」
「見てわかるでしょ。今の私は女捨ててるの」
「そのようだな」
跡部の言葉に少しムカッとするが何も言い返さずにパソコンに向かう。
「見せてみろ」
どれくらい画面を見ていただろうか。いつの間にか隣に来ていた跡部に、ヒッと喉が鳴る。
今の疲れ切っている寝不足の私に、跡部の神々しさは目に毒だ。
「な、なに…近いんですけど」
「これお前1人でやってるのか」
私の言葉に見向きもせず、画面に一通り目を通した跡部が呟いた。
「そ、うだけど」
「…なるほどな。テメェの機嫌が悪くなるのも仕方ねぇな」
跡部は流し目で私を見つめた後、その場からパソコンを奪ってしまう。
「っあ、ちょっと…」
「この件は俺に任せろ。少し話をしてくるからお前はここで休んでな」
「は、はぁ…!?ちょっと跡部ー」
跡部はそう言うとバタンッ、と扉を閉めて行ってしまった。
…何なのよ。パソコン持って、どこに行ったの…
「…」
すぐに跡部を追いかけて止めようとも思ったが、跡部が言ってくれた休めという言葉に何だか力が抜けてしまった。
…跡部はこうと決めたら曲げない人だ。とりあえず、後で責任をとるとして…今は休もう。
静まり返った部屋でヒールを脱ぎ、大きいソファーに寝転ぶ。
そこで目を瞑れば、1分も経たないうちに寝てしまった。