友達以上恋人未満*赤也
「先輩部活行きたいんすか?」
「行きたいって言うか、行かなきゃ。やる事もあるし幸村くんに頼み事あるって言われてるし〜」
マネージャーも楽じゃないね、と肩を落とす先輩。
確かに立海の仕事は楽じゃないと思うけど、部長の頼まれ事は私欲が混じっているに違いない。
うちの部のやつらは先輩の事かなり気に入ってるし、恋愛対象としてもバリバリ見ていると思う。
ジャッカル先輩もそうだし、丸井先輩だってよく相澤先輩に餌付けしてるし、仁王先輩だってよくちょっかいだしてるし。
柳先輩と柳生先輩は同じクラスだし真田先輩もよく相澤先輩の事褒めてるし…
幸村部長は恥ずかしげもなく口説いたりしてるし…相澤先輩は本気にしてないけど。
「赤也?」
どうしたって、相澤先輩次第ではこの関係はすぐに壊れてしまうのだ。
…ただでさえ、俺はこの人と関われるのが部活しかないのに。
「赤也くーん、手ぇ止まってますよ」
「…俺、先輩と同い年がよかった」
「え?何で?」
「だってー…そうすりゃ、先輩とずっと一緒にいれるし」
体育祭も文化祭も、修学旅行だって…俺は先輩と一緒にいれないのに。
「確かに、赤也を残して卒業するのは心配だなぁ〜色々と」
「…なら留年してくださいよ」
「こらこら。縁起でもないこと言うんじゃないよ」
あはは、と優しく笑う先輩。
…俺は、どうしたってこの人と同じ土俵に立つことなんて出来ない。
いつまでも、追いかけるだけだ。
「先輩、お願いがあるんすけど」