友達以上恋人未満*赤也
「赤也、ここまた間違ってるよ」
さっきも教えたじゃん、と目の前で小言を言うのはテニス部のマネージャー相澤先輩だ。
「…すんません」
「でもここは間違えやすいからね。もう一度説明するよ?ここはー」
至近距離で教科書を見ながらスラスラと口を動かす先輩。
…正直、解説なんて頭に全然入って来ない。
それより先輩と近いとか、いい匂いがするとか、シャツの隙間から下着が見えてることとか、頭の中は邪念だらけだ。
「…ねぇ、赤也?聞いてる?」
その声にハッと顔を上げ先輩に目線を合わせる。
「き、聞いてるっすよ!」
「もー、今回も赤点だったら私まで真田くんに怒られちゃうよ」
そう、先輩は赤点をとった俺に勉強を教える係を真田副部長に頼まれた。
こうして放課後に先輩と2人きりになれるのはラッキーだけど…確かにいつも脳裏に真田副部長がチラつく。
「そりゃやべーっすね。先輩もどつかれるかも」
「えー?もう勘弁してよぉ…」
くく、と笑う俺に対して先輩は泣きそうな顔で頬杖をつく。
「ほら、赤也。これだけ解いて部活行こうよ」