スキンシップ*四天宝寺
「何で、って…そりゃ」
「そりゃ?」
「ぶ、部員…やから!部員同士で、そんなんあかん!」
言葉を絞り出したように白石は首を縦に振る。
…なんか他の理由がありそうだな。
「ね、白石。それちょーだい」
「え?あ、あぁ」
白石のたこ焼きを顔で指すと、察したのか私の目の前まで船皿を持ってきてくれる。
「あ」
「は?」
「手塞がってるから、あ」
白石に向かって口を開くと徐々に顔を赤らめた。
「な、何言うてんねん!塞がってないやろ」
「塞がってるよ」
自分の腕を組みながら白石にあーんをしてもらおうと譲らない。
「せ、せやけど…」
「なんや?ねーちゃん、それ欲しいんか?ならワイがしたるわ!」
中々行動しない白石に、金ちゃんが身を乗り出して爪楊枝でプス、とたこ焼きを刺す。
まぁこの際、金ちゃんからでもいいかと顔を金ちゃんの方に向ける。
「あー…」
「やらへんとは言うてないやろ!」
もう少しのところで白石は金ちゃんから爪楊枝を奪い、そのまま私の口の中へと入れた。
「なんや白石、顔真っ赤やで?」
…ほんとだ。今までに見たことないくらい照れている。
白石って本当にウブなんだなぁ。
「そういうのはあかんって言っときながら、白石やっちゃったね」
「…相澤がせぇって言うたんやろ」
「あはは、そうだね。ご馳走様」
「…全く敵わへんわ」
それ以来、白石は少しだけスキンシップを取ってくれるようになった。
Fin