スキンシップ*四天宝寺
「文句あんならかかってこいやー!勝負やー!」
金ちゃんは興奮気味にそう言うと、近くにあったバイクを軽々と持ち上げて頭の上に掲げる。
「き、金ちゃん…!」
その異様な光景に周りがザワザワと騒ぐ。
「な、なんやお前…やってられへんわ!」
流石に金ちゃんの迫力に驚いたのか、男の人は呆れ気味に去っていった。
「こらぁー!逃げるなんて許さへんで!」
「金ちゃん。落ち着きーな、それ下ろし」
追いかけようとした金ちゃんを止めて宥める白石。
…金ちゃん、力持ちすぎる。
こんな小さい子が、あんな重そうなバイクを軽々と持ち上げるなんて流石に驚くよね。
「ねーちゃん大丈夫かー?何もされてへん?」
金ちゃんは落ち着いたのか心配そうに私をみあげる。
「うん、大丈夫。何もされてないよ」
「ほんなら良かったわー!」
「金ちゃんも白石もありがとう」
「この辺は輩が多いからなぁ。場所移動しよか」
なんか俺ら目立っとるしな、と付け加えて白石が辺りを見回す。
確かに周りからすごく見られている。
金ちゃんは気にしていない様子だったけど、私と白石は慌てて金ちゃんを連れてその場を離れた。