恋人は名乗った後で / 短編
「よっ、今日も元気か?」
「は…はい!」
憧れの方が目の前にいると、つい身体が硬直してしまう。
アーサー・カークランドさん。
少し前に紅茶教室でご一緒して、それ以降会議の受付処理をするときにはこうやって声をかけていただいている。
「あ、この前のマドモアゼルちゃんじゃ〜ん!今日こそ、今夜お兄さんとどう?」
せっかくいいところだったのに、薔薇の香りの男がずいっと割り込んできた。
「おい!この髭!グイグイ押すんじゃねー!!」
「なんだよ?俺はこのマドモアゼルちゃんに話しかけてるのー!眉毛のことはぜーんぜん見えなかったけど?」
「んだとやんのかコラァッ!!」
あぁ、まただ。
こうやっていっつもいっつもこの薔薇の香りの男は私の憧れの人を挑発する。
だから嫌なんだ。
「お前らうるさいぞ!早く席に着かんか!」
「「ル…ルート…」」
二人が口を揃えて肩を掠める。
ここまでがセットでいつものお決まりだ。
会議がそろそろ終わった頃だろうか。
扉が開いてガヤガヤと賑やかな声が響く。
帰りの受付処理をしなければ、と受付に向かおうとすると後ろから声をかけられた。
「…よぉ。あのよ、良かったら、この後紅茶でも一緒にどうだ?」
目の前には視線を逸らしながらポリポリと頬を掻くアーサーさんの姿があった。
途端、胸がドキンと弾む。
嘘。アーサーさんに声をかけて頂けるなんて。
「も…、もちろんです…!」
嬉しい。本当にいいのかな?
すごくソワソワする。
「おーい!なーにしてるの!」
どこからともなくまた例の男が現れる。
…まただ、この薔薇の香り。
「んだよこのクソ髭」
「いやいや、なーんか誰かさんが抜け駆けしようとしてたし?俺まだこの子とデート出来てないから眉毛に先越されるのは嫌だしねー?」
「なっ!俺は別に…!」
「じゃ、そうゆうことだから☆」
グイ、と腕を引っ張られて、そのままこの広い建物の廊下を走らされた。
何?どういうつもり?
「ちょ、っと!なんなんですか?!」
「いいからいいから。ちょっとだけお兄さんに付き合ってよ」
はぁ…、つくづく呆れる人だ。
「は…はい!」
憧れの方が目の前にいると、つい身体が硬直してしまう。
アーサー・カークランドさん。
少し前に紅茶教室でご一緒して、それ以降会議の受付処理をするときにはこうやって声をかけていただいている。
「あ、この前のマドモアゼルちゃんじゃ〜ん!今日こそ、今夜お兄さんとどう?」
せっかくいいところだったのに、薔薇の香りの男がずいっと割り込んできた。
「おい!この髭!グイグイ押すんじゃねー!!」
「なんだよ?俺はこのマドモアゼルちゃんに話しかけてるのー!眉毛のことはぜーんぜん見えなかったけど?」
「んだとやんのかコラァッ!!」
あぁ、まただ。
こうやっていっつもいっつもこの薔薇の香りの男は私の憧れの人を挑発する。
だから嫌なんだ。
「お前らうるさいぞ!早く席に着かんか!」
「「ル…ルート…」」
二人が口を揃えて肩を掠める。
ここまでがセットでいつものお決まりだ。
会議がそろそろ終わった頃だろうか。
扉が開いてガヤガヤと賑やかな声が響く。
帰りの受付処理をしなければ、と受付に向かおうとすると後ろから声をかけられた。
「…よぉ。あのよ、良かったら、この後紅茶でも一緒にどうだ?」
目の前には視線を逸らしながらポリポリと頬を掻くアーサーさんの姿があった。
途端、胸がドキンと弾む。
嘘。アーサーさんに声をかけて頂けるなんて。
「も…、もちろんです…!」
嬉しい。本当にいいのかな?
すごくソワソワする。
「おーい!なーにしてるの!」
どこからともなくまた例の男が現れる。
…まただ、この薔薇の香り。
「んだよこのクソ髭」
「いやいや、なーんか誰かさんが抜け駆けしようとしてたし?俺まだこの子とデート出来てないから眉毛に先越されるのは嫌だしねー?」
「なっ!俺は別に…!」
「じゃ、そうゆうことだから☆」
グイ、と腕を引っ張られて、そのままこの広い建物の廊下を走らされた。
何?どういうつもり?
「ちょ、っと!なんなんですか?!」
「いいからいいから。ちょっとだけお兄さんに付き合ってよ」
はぁ…、つくづく呆れる人だ。