~Maple tree~ VI-2
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事務所にて、楓に俺のデスクが用意されていた。
明日、明後日は休みという話を聞いた。
給料は今どき珍しい手渡しだとも。
俺はワタルが事務所の端で、理科の授業のプリント作成をしているのを見た。ワタルは顔を上げて俺を見た。
「レオン、終わったのか?」
「待たせた」
「いや、いいよ。やっていけそう?」
「ああ、大丈夫」
ワタルが帰り支度をしていると、楓がやって来た。
「ケネディさん」
俺はこの呼び方にドキリとした。彼女との始まりの呼び方。
「…あ、はい」
楓は手のひらに小粒のチョコレートを乗せて俺に渡して来た。
「バレンタインデーですから、どうぞ」
そう言って、俺の手のひらにそれを置いた。
セロファンのピンクやグリーンの包み。
ワタルにも同じようにチョコレートを渡して来た。
俺だけじゃないんだ。と残念になった。
前に作ってくれたオレンジピールのチョコレートケーキは俺にだけ作ってくれた。
たまたまその時に訪ねて来たフユキには、市販のチョコレートを渡していた。
楓はワタルに話をした後、更衣室に入って行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ワタルと一緒にマンションに帰宅する為に、道を歩く。
「あーあ、腹減ったなぁ…」
俺も腹は減った。もう14時過ぎ。
ワタルは俺を連れてやって来たのはジャパニーズダイナーだった。
ワタルは生まれた時から今までずっと京都にいる。
留学した際も、なんやかんやで戻って来たくらいこの京都が好きらしい。
楓の故郷。
俺がいた世界の日本はバイオテロにより、京都は壊滅状態になっていた。
しかし、この世界は平和だ。
ジャパニーズダイナーの小上がりになっているザシキという場所には、四角いクッションが置かれていた。ザブトンという物で、この上に座るという。
これがジャパニーズスタイル。
ワタルはポークジンジャーをメインディッシュにしたセットを注文した。
俺は、楓がよく作ってくれた唐揚げの味に縋りたくて唐揚げをメインディッシュにしたセットを注文した。
程よく賑わう店は、昼間からビールを飲み酔い潰れた中年男性や小さい子を連れた家族、学生がいた。
注文した料理が運ばれてきた。和食はよく彼女が作ってくれていたから、箸の扱いも、ミソスープも何も変色無く食べれた。
唐揚げは楓の方が上手い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店を後にすると、ワタルにドル紙幣を換金できる場所を聞いた。
ワタルには、今持っているドル紙幣で日本円に直した金額を渡したが、ややこしい。
ワタルに近くにある銀行に連れて行かれ、代わりに換金してもらった。
あの日。楓が消えた日に、自分の銀行口座に入っていた金額を一気に下ろして財布に入るだけ入れて来た。ジャケットの内ポケットにもそれが入っている。
あの幸せの代名詞になった家。
俺は、あの家にいられなくなったからだ。
あの口座にはまあまあな大金が入っていた。全て自分の体と技術で手に入れたものだ。
そして、それはいつか。
楓と一緒に暮らす本当の我が家を手に入れる為に貯めていたものだった。
だったが。意味がなくなった。
だが、散財なんて出来なかった。
どこかで、彼女が生きていてまた会える気がしたから。
そして、また逢えた。
この世界のきみに。
楓、また君に逢えた。それだけが嬉しくて、仕方がなかった。
つづく
明日、明後日は休みという話を聞いた。
給料は今どき珍しい手渡しだとも。
俺はワタルが事務所の端で、理科の授業のプリント作成をしているのを見た。ワタルは顔を上げて俺を見た。
「レオン、終わったのか?」
「待たせた」
「いや、いいよ。やっていけそう?」
「ああ、大丈夫」
ワタルが帰り支度をしていると、楓がやって来た。
「ケネディさん」
俺はこの呼び方にドキリとした。彼女との始まりの呼び方。
「…あ、はい」
楓は手のひらに小粒のチョコレートを乗せて俺に渡して来た。
「バレンタインデーですから、どうぞ」
そう言って、俺の手のひらにそれを置いた。
セロファンのピンクやグリーンの包み。
ワタルにも同じようにチョコレートを渡して来た。
俺だけじゃないんだ。と残念になった。
前に作ってくれたオレンジピールのチョコレートケーキは俺にだけ作ってくれた。
たまたまその時に訪ねて来たフユキには、市販のチョコレートを渡していた。
楓はワタルに話をした後、更衣室に入って行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ワタルと一緒にマンションに帰宅する為に、道を歩く。
「あーあ、腹減ったなぁ…」
俺も腹は減った。もう14時過ぎ。
ワタルは俺を連れてやって来たのはジャパニーズダイナーだった。
ワタルは生まれた時から今までずっと京都にいる。
留学した際も、なんやかんやで戻って来たくらいこの京都が好きらしい。
楓の故郷。
俺がいた世界の日本はバイオテロにより、京都は壊滅状態になっていた。
しかし、この世界は平和だ。
ジャパニーズダイナーの小上がりになっているザシキという場所には、四角いクッションが置かれていた。ザブトンという物で、この上に座るという。
これがジャパニーズスタイル。
ワタルはポークジンジャーをメインディッシュにしたセットを注文した。
俺は、楓がよく作ってくれた唐揚げの味に縋りたくて唐揚げをメインディッシュにしたセットを注文した。
程よく賑わう店は、昼間からビールを飲み酔い潰れた中年男性や小さい子を連れた家族、学生がいた。
注文した料理が運ばれてきた。和食はよく彼女が作ってくれていたから、箸の扱いも、ミソスープも何も変色無く食べれた。
唐揚げは楓の方が上手い。
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店を後にすると、ワタルにドル紙幣を換金できる場所を聞いた。
ワタルには、今持っているドル紙幣で日本円に直した金額を渡したが、ややこしい。
ワタルに近くにある銀行に連れて行かれ、代わりに換金してもらった。
あの日。楓が消えた日に、自分の銀行口座に入っていた金額を一気に下ろして財布に入るだけ入れて来た。ジャケットの内ポケットにもそれが入っている。
あの幸せの代名詞になった家。
俺は、あの家にいられなくなったからだ。
あの口座にはまあまあな大金が入っていた。全て自分の体と技術で手に入れたものだ。
そして、それはいつか。
楓と一緒に暮らす本当の我が家を手に入れる為に貯めていたものだった。
だったが。意味がなくなった。
だが、散財なんて出来なかった。
どこかで、彼女が生きていてまた会える気がしたから。
そして、また逢えた。
この世界のきみに。
楓、また君に逢えた。それだけが嬉しくて、仕方がなかった。
つづく