~Maple tree~ VI-2
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「すまない…」
俺が謝ると、楓は顔を赤らめながら、首を横に振る。
「だ、大丈夫…です…、は、恥ずかしかったですが…」
動揺する楓とエレベーターに乗り込む。また、密室なんて。
エレベーターをなんとか、攻略し、連れて行かれたのは会議室。
会議室と言っても折り畳み式の机が二つくっつけられたテーブルにパイプ椅子が置かれた部屋だった。
楓に促され、パイプ椅子に座ると楓は正面に座った。
「まず、面接を行いますね。まずは、こちらを解いてみてください」
俺の前に出されたのは問題と解答を一緒に書くタイプのプリント。
各教科ーー国語、算数、理科、社会、英語ーーがランダムに書かれたものだった。
ワタル…。テストがあるなんて聞いていないぞ。
まあ、いいか。彼女に貸してもらったシャープペンシルでサラサラと書いていく。
マナに言語中枢をいじられた事がここで役に立つとは。
日本語で書かれた問題を見ていく。楓がよく日本語の本を読んでいた。
オサム・ダザイ、ケンジ・ミヤザワ、カオリ・エクニ、様々な本を読んだ。
仕事で行ったヨーロッパでの仕事の後に立ち寄ったフィレンツェで買ったスノードームをプレゼントした時に彼女は嬉しそうにしていた。
インスタントカメラで撮影した風景を見せたら喜んでいた。
彼女といつか行きたかった場所。
解答をテスト用紙に書いた物を楓に渡すとその場で採点された。
しかし、事件が起きる。
なんと、社会の問題に関しては壊滅的だった。
「日本の歴史は苦手ですか?」
「あまり知らないんだ」
「…京都はたくさん歴史がありますから、ぜひ行ってみてくださいね。英語に関してはネイティブの方ですから、余裕ですね」
「…ありがとう」
「問題無さそうですから、採用でいいです。英語の先生として、お願いします。あと、20分後に授業があります。私が英語担当なんですが、一緒に参加してくれますか?」
「今から?」
「はい、何か用事ありますか?」
「な、ない」
彼女に矢継ぎ早に色々言われた。
保険証や雇用保険の事、住所の登録など。
とりあえず、連絡先や住所はワタルのところにしておこう。
彼女に連れられ、やって来たのは12畳ほどの部屋に黒板と長い机が5列と各机に5個椅子が並べられた教室だった。
楓は中に俺を入れると、色々説明してくれた。
ここは、毎週日曜日、月曜日が休みの進学塾。そして、学童保育所であると。
学童保育所は、両親が仕事をしており、監督者がいない、介護、持病治療などの様々な理由で子供を一時的に預かる施設。
楓は保育士免許を取得しており、主に幼児教室を受け持っているそうだ。時々、助っ人で他の学年の教室を受け持つそうだ。
俺の役目は幼児から高校生までの英語教室の講師をするそうだ。
大変な事になった。
俺は火曜日から土曜まで週5日の正規雇用。
ひたすらに母国語を教える仕事。
今まで、こういう仕事をした事はない。
楓とは先輩、後輩の仲になる。
何だか奇妙な関係だ。
しばらくすると、先程俺の尻を攻撃して来た少年を始めとする子供達がぞろぞろ入って来た。
すると、先程の少年が俺を見て指をさして来た。
「あー! 楓先生の彼氏だー!」
「彼氏同伴の授業?」
色々言われるが、俺は隣に立つ楓が恥ずかしそうに「違います」と言う姿を見て思った。
君は俺がいた世界では、俺の彼女だった。
君の髪も、その綺麗な唇も、綺麗な指先も何もかも、俺のものだった。
あの日、君が空に消えていってから…。後悔ばかりだ。
楓は教材のカードを使い、生徒に見せながら「これは英語で何んですか?」と聞いていく。
彼女は音楽の教師になると言っていた。俺とアメリカで生きていく為に。
もし、楓が生きていたら…、俺の隣に居てくれたら…。
そんな事を考えていたら、全員が静まり返り俺を凝視していた。
「楓先生の彼氏はなんで泣いてんのー?」
俺の尻を攻撃した少年に言われ、俺は手の甲で涙を拭った。
「こらっ! そう言う事言っちゃダメです!」
楓がフォローを入れるが、俺は今彼女が隣に居てくれる事が嬉しくて、そして、自分が情けなくて…。
「先生ー、泣いているって英語でなんて言うの?」
「泣いている…は英語では…えーっと…」
楓が冷や汗を流しながら俺をチラッと見た。
「Is crying…」
俺がポツリと答えると、楓は「だそうでーす」と答えた。
この世界の楓は、俺が知っている楓より遥かに英語力がない。
しかし、俺が英語で喋っているのは、日本語で聞こえていると言う不思議な事が起きている。
しかし、楓が英語をあんなに饒舌に喋れたのは楓が通っていたという英会話教室の講師の賜物だろう。
生徒に揶揄われながら、授業が終わり生徒たちが帰っていく。
それを、見送った後に楓は机を拭き、椅子を片付けるのを手伝った。
俺が謝ると、楓は顔を赤らめながら、首を横に振る。
「だ、大丈夫…です…、は、恥ずかしかったですが…」
動揺する楓とエレベーターに乗り込む。また、密室なんて。
エレベーターをなんとか、攻略し、連れて行かれたのは会議室。
会議室と言っても折り畳み式の机が二つくっつけられたテーブルにパイプ椅子が置かれた部屋だった。
楓に促され、パイプ椅子に座ると楓は正面に座った。
「まず、面接を行いますね。まずは、こちらを解いてみてください」
俺の前に出されたのは問題と解答を一緒に書くタイプのプリント。
各教科ーー国語、算数、理科、社会、英語ーーがランダムに書かれたものだった。
ワタル…。テストがあるなんて聞いていないぞ。
まあ、いいか。彼女に貸してもらったシャープペンシルでサラサラと書いていく。
マナに言語中枢をいじられた事がここで役に立つとは。
日本語で書かれた問題を見ていく。楓がよく日本語の本を読んでいた。
オサム・ダザイ、ケンジ・ミヤザワ、カオリ・エクニ、様々な本を読んだ。
仕事で行ったヨーロッパでの仕事の後に立ち寄ったフィレンツェで買ったスノードームをプレゼントした時に彼女は嬉しそうにしていた。
インスタントカメラで撮影した風景を見せたら喜んでいた。
彼女といつか行きたかった場所。
解答をテスト用紙に書いた物を楓に渡すとその場で採点された。
しかし、事件が起きる。
なんと、社会の問題に関しては壊滅的だった。
「日本の歴史は苦手ですか?」
「あまり知らないんだ」
「…京都はたくさん歴史がありますから、ぜひ行ってみてくださいね。英語に関してはネイティブの方ですから、余裕ですね」
「…ありがとう」
「問題無さそうですから、採用でいいです。英語の先生として、お願いします。あと、20分後に授業があります。私が英語担当なんですが、一緒に参加してくれますか?」
「今から?」
「はい、何か用事ありますか?」
「な、ない」
彼女に矢継ぎ早に色々言われた。
保険証や雇用保険の事、住所の登録など。
とりあえず、連絡先や住所はワタルのところにしておこう。
彼女に連れられ、やって来たのは12畳ほどの部屋に黒板と長い机が5列と各机に5個椅子が並べられた教室だった。
楓は中に俺を入れると、色々説明してくれた。
ここは、毎週日曜日、月曜日が休みの進学塾。そして、学童保育所であると。
学童保育所は、両親が仕事をしており、監督者がいない、介護、持病治療などの様々な理由で子供を一時的に預かる施設。
楓は保育士免許を取得しており、主に幼児教室を受け持っているそうだ。時々、助っ人で他の学年の教室を受け持つそうだ。
俺の役目は幼児から高校生までの英語教室の講師をするそうだ。
大変な事になった。
俺は火曜日から土曜まで週5日の正規雇用。
ひたすらに母国語を教える仕事。
今まで、こういう仕事をした事はない。
楓とは先輩、後輩の仲になる。
何だか奇妙な関係だ。
しばらくすると、先程俺の尻を攻撃して来た少年を始めとする子供達がぞろぞろ入って来た。
すると、先程の少年が俺を見て指をさして来た。
「あー! 楓先生の彼氏だー!」
「彼氏同伴の授業?」
色々言われるが、俺は隣に立つ楓が恥ずかしそうに「違います」と言う姿を見て思った。
君は俺がいた世界では、俺の彼女だった。
君の髪も、その綺麗な唇も、綺麗な指先も何もかも、俺のものだった。
あの日、君が空に消えていってから…。後悔ばかりだ。
楓は教材のカードを使い、生徒に見せながら「これは英語で何んですか?」と聞いていく。
彼女は音楽の教師になると言っていた。俺とアメリカで生きていく為に。
もし、楓が生きていたら…、俺の隣に居てくれたら…。
そんな事を考えていたら、全員が静まり返り俺を凝視していた。
「楓先生の彼氏はなんで泣いてんのー?」
俺の尻を攻撃した少年に言われ、俺は手の甲で涙を拭った。
「こらっ! そう言う事言っちゃダメです!」
楓がフォローを入れるが、俺は今彼女が隣に居てくれる事が嬉しくて、そして、自分が情けなくて…。
「先生ー、泣いているって英語でなんて言うの?」
「泣いている…は英語では…えーっと…」
楓が冷や汗を流しながら俺をチラッと見た。
「Is crying…」
俺がポツリと答えると、楓は「だそうでーす」と答えた。
この世界の楓は、俺が知っている楓より遥かに英語力がない。
しかし、俺が英語で喋っているのは、日本語で聞こえていると言う不思議な事が起きている。
しかし、楓が英語をあんなに饒舌に喋れたのは楓が通っていたという英会話教室の講師の賜物だろう。
生徒に揶揄われながら、授業が終わり生徒たちが帰っていく。
それを、見送った後に楓は机を拭き、椅子を片付けるのを手伝った。