~Maple tree~ VI-2
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翌日、俺は期待していた。隣に楓がいて、一緒に寝ていてくれることを。
毎日期待してしまうが、毎回期待外れで終わる。
俺が目覚めると、昨日と同じ部屋にいた。
床には、畳まれた布団。
起き上がると、キッチンでテキパキと料理をするワタルがいた。
洗濯機が回る音、日本語のラジオ、食器が擦れる音、聞き慣れた音が包み込んでいた。
「レオン、おっはよ! 今日は土曜日だー! 飯食って、洗濯干して、掃除したら出かけるぞー」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小さいテーブルにワンプレートで料理を提供するワタル。
ワンプレートには、食パン、目玉焼き、ベーコン、サラダとコーヒーとプロテイン。
俺にも同じメニューを出してきた。
二人で食事をする。ワタルは、朝のニュース番組を見ながらパンに齧り付く。
久しぶりに朝食を食べた。
いつも、楓に用意してもらっていた朝食を思い出す。
ワタルは英語が堪能だ。以前、イギリスに留学していた経験から英語はペラペラだと教えてくれた。
一通り食べ終わると、ワタルは俺に「皿洗って」と頼んできた。
タダで泊めさせてもらい、食事までご馳走になったからには、それ位はと思い皿を洗った。
ワタルはその間に洗濯を干し、昨日洗濯した俺の服を畳んでベッドに置いた。
さらに、ワタルは掃除を済ませる。早い。
俺は昨日着ていた洗濯された服に袖を通した。
それが終わるとワタルは俺に向き直る。
「レオン、俺さ。お前が自分のいた世界に帰られるまでここに置いてやる」
ワタルの優しさには、感謝しかない。
「…だが、お前ばかりに世話をかけたくない…」
「勿論、タダなんて言わない。レオンには、任務を与える」
「任務?」
「あのさ、俺の知り合いで個人経営の塾やっている奴がいてさ。そいつが今ネイティブ・アメリカン探しているんだよ。塾でリアル英語を学ばせるって言うチラシ作ったら馬鹿ウケしたんだけど、雇っていたネイティブ・アメリカンがトンズラしてさ、新しい奴探してんの。協力してやってくれない?」
「それが条件か?」
「そっ! んで、今日その塾に行くから、緩い面接してくれない? あと、給料出すって言っていた。月給25万円。福利厚生は…期待すんな」
「…分かった」
25万円はドルに直すと、2500ドル程。
アメリカじゃ生活出来ない。
俺はワタルに言われ、一緒に個人経営をする知人に共に会いに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて、外に出た。
ワタルはここがどこか教えてくれた。ここは、日本の京都。河原町という地域。
ワタルの家は、河原町の一角にあるマンション。
楓の実家もこの街にあった。
いつか楓の家に行きたいと思っていた。時々、思い出話をしていた。
ワタルに連れられ、地下鉄を使った。京都河原町駅という駅から出る電車に乗った。
アメリカの地下鉄は危険が多い。一度楓と一緒にワシントンメトロを使った事があるがひたすらに楓を壁際に追いやり、目的地まで待機していた事を思い出す。
個人経営の塾は小さいオフィスを借りた場所にあった。
ワタルに連れられ、道路に面した建物にある狭い階段を登っていく。
ワタルは慣れているのか、スタスタ上がるが俺はこんな足場の小さい階段は初体験で、登るのに一苦労だ。
オフィスの古びたドアを開けると、掘り立ての野菜のような、土のような独特の匂いがした。
オフィスのコンクリートになっている場所に板が組み合わされた物が置かれていて、その周りに子供サイズの靴があべこべに散らばっていた。
そして、子供の独特の香ばしい香りがした。 ワタルは靴を脱ぐと、散らばった靴をきれいに端に並べて終えると俺に靴を脱いで上がるように促した。
靴を脱いで、室内に入る独自のルールがある家もアメリカにもあるが俺は脱がない派だった。
楓は一緒にチャイナタウンに行った際に可愛いと一目惚れしたチャイニーズシューズを履いていた。
花柄にスパンコールが付いたデザインのシューズを思い出した。
ワタルは俺にビニール製のスリッパを出してきた。
「とりあえず、これ履いとけ」
スリッパを履いて、事務所に向かう道中で子供達に数学を教えている教室を通り過ぎた。
毎日期待してしまうが、毎回期待外れで終わる。
俺が目覚めると、昨日と同じ部屋にいた。
床には、畳まれた布団。
起き上がると、キッチンでテキパキと料理をするワタルがいた。
洗濯機が回る音、日本語のラジオ、食器が擦れる音、聞き慣れた音が包み込んでいた。
「レオン、おっはよ! 今日は土曜日だー! 飯食って、洗濯干して、掃除したら出かけるぞー」
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小さいテーブルにワンプレートで料理を提供するワタル。
ワンプレートには、食パン、目玉焼き、ベーコン、サラダとコーヒーとプロテイン。
俺にも同じメニューを出してきた。
二人で食事をする。ワタルは、朝のニュース番組を見ながらパンに齧り付く。
久しぶりに朝食を食べた。
いつも、楓に用意してもらっていた朝食を思い出す。
ワタルは英語が堪能だ。以前、イギリスに留学していた経験から英語はペラペラだと教えてくれた。
一通り食べ終わると、ワタルは俺に「皿洗って」と頼んできた。
タダで泊めさせてもらい、食事までご馳走になったからには、それ位はと思い皿を洗った。
ワタルはその間に洗濯を干し、昨日洗濯した俺の服を畳んでベッドに置いた。
さらに、ワタルは掃除を済ませる。早い。
俺は昨日着ていた洗濯された服に袖を通した。
それが終わるとワタルは俺に向き直る。
「レオン、俺さ。お前が自分のいた世界に帰られるまでここに置いてやる」
ワタルの優しさには、感謝しかない。
「…だが、お前ばかりに世話をかけたくない…」
「勿論、タダなんて言わない。レオンには、任務を与える」
「任務?」
「あのさ、俺の知り合いで個人経営の塾やっている奴がいてさ。そいつが今ネイティブ・アメリカン探しているんだよ。塾でリアル英語を学ばせるって言うチラシ作ったら馬鹿ウケしたんだけど、雇っていたネイティブ・アメリカンがトンズラしてさ、新しい奴探してんの。協力してやってくれない?」
「それが条件か?」
「そっ! んで、今日その塾に行くから、緩い面接してくれない? あと、給料出すって言っていた。月給25万円。福利厚生は…期待すんな」
「…分かった」
25万円はドルに直すと、2500ドル程。
アメリカじゃ生活出来ない。
俺はワタルに言われ、一緒に個人経営をする知人に共に会いに行った。
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初めて、外に出た。
ワタルはここがどこか教えてくれた。ここは、日本の京都。河原町という地域。
ワタルの家は、河原町の一角にあるマンション。
楓の実家もこの街にあった。
いつか楓の家に行きたいと思っていた。時々、思い出話をしていた。
ワタルに連れられ、地下鉄を使った。京都河原町駅という駅から出る電車に乗った。
アメリカの地下鉄は危険が多い。一度楓と一緒にワシントンメトロを使った事があるがひたすらに楓を壁際に追いやり、目的地まで待機していた事を思い出す。
個人経営の塾は小さいオフィスを借りた場所にあった。
ワタルに連れられ、道路に面した建物にある狭い階段を登っていく。
ワタルは慣れているのか、スタスタ上がるが俺はこんな足場の小さい階段は初体験で、登るのに一苦労だ。
オフィスの古びたドアを開けると、掘り立ての野菜のような、土のような独特の匂いがした。
オフィスのコンクリートになっている場所に板が組み合わされた物が置かれていて、その周りに子供サイズの靴があべこべに散らばっていた。
そして、子供の独特の香ばしい香りがした。 ワタルは靴を脱ぐと、散らばった靴をきれいに端に並べて終えると俺に靴を脱いで上がるように促した。
靴を脱いで、室内に入る独自のルールがある家もアメリカにもあるが俺は脱がない派だった。
楓は一緒にチャイナタウンに行った際に可愛いと一目惚れしたチャイニーズシューズを履いていた。
花柄にスパンコールが付いたデザインのシューズを思い出した。
ワタルは俺にビニール製のスリッパを出してきた。
「とりあえず、これ履いとけ」
スリッパを履いて、事務所に向かう道中で子供達に数学を教えている教室を通り過ぎた。