~Maple tree~ VI-6
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ワタルは攻略本を開き、ライラプスに関する物を見て行く。
「その洗脳については、書かれていないからそこは、関係ないな。ライラプスは、元々主人公機になる予定だった機体なんだけど、ゲーム開発のプロデューサーに却下されたんだ」
ライラプスの機体デザインとPHOENIXの機体デザインが描かれたページを見せながらワタルは説明してくれた。
PHOENIXがライバル機、ライラプスが主人公機。
確か、リンが自分の地位や立場を誇示する為にテロ組織に加入したと言っていた。
そこは、影響を受けたのだろう。
ワタルはゲームデータをノートパソコンに移し替えるツールを使い、移した後にパソコン用のゲームコントローラーを持ってきた。
それをノートパソコンにセットした。
「ライラプスの基本性能を教える。ライラプスは、近接戦型ブレイブ。武装が、二刀流で戦ってくるんだけど…、攻撃して来ないし、回避行動をしてくる。な、ん、だ、け、ど…、こっちも改造コードを使って無理矢理倒す」
ワタルがそう言うと、キーボードにとあるコードを入力した。
「ライラプスは、冷却装置がやばいんだ。パソコンで説明すると、パソコンは自身を起動し、作動する為には常に冷却しながら動かさないとオーバーヒートする。ライラプスは、その冷却装置に難がある。さらに、生体パーツをコックピットの裏側にある格納室に入れて演算処理のパーツにする。具体的には、恐らく脳へ直接電磁パルスを送って、強引に使用すると言う方法。んで、生体パーツにされると中が高温で生きたまま焼き殺されるか、脳が破壊されて死ぬかの二択になる…」
ワタルがツラツラと説明してくれたが、甦る楓の最後。
俺は、息を吸い込み、ゆっくり吐いた。
「大丈夫か? ライラプスがレオンの世界にもいたんだな…。まあ、何にしても試しに戦ってみるか…」
ワタルがそう言うと、ゲームを起動し、ライラプスを出現させる。
ワタルがプレイしながら、さらっと言う。
「そういえばさ、見つけたPHOENIXを整備してくれていた颯斗がさ、見た事ないパーツがいっぱい付いているって言っていてさ、ドライバーIDをゲームに忠実にセットしたら変形するんじゃねーかな?って言ったら、レオン連れてこいって言われたんだけど、明日レオン仕事だろ? 週末にって言っといたけど、予定大丈夫?」
「…構わないよ」
ライラプスの戦闘シーンを見ていると、ライラプスは移動中、生体パーツのライフゲージが減り続ける。
それを見て、ワタルが弾を切り替えて、PHOENIXに攻撃をさせるとライフゲージが回復した。
「今、何をしたんだ?」
「冷却弾を打ち込んだ」
「冷却弾って?」
「銃弾の仕組みはレオンは知っているだろう?」
勿論知っている。
知らずに使うなんて恐ろしい事は出来ない。
銃弾はカートリッジ(弾薬/実包)は、弾頭(弾丸)、ケース(薬莢)、パウダー(火薬 / 装薬)、プライマー(雷管)で構成されている。
銃のファイアリングピン(撃針)が弾薬のプライマー(雷管)を叩くと、プライマー内部の火薬が燃焼する。この火薬は圧力が加わると燃焼する火薬(起爆薬)。
プライマーの火薬が燃焼すると、薬莢内のフラッシュホール(伝火孔)と呼ばれる小さな穴を火花や燃焼ガスが通過し、パウダー(火薬 / 装薬)に引火して激しく燃焼する。
パウダーが燃焼を始めると、発生した燃焼ガスにより内部圧力(腔圧)が高まり、弾頭が押し出されてバレル(銃身)の中で加速し発射される。
引き金を引く間に、この工程を経ている。先人達に感謝しかない。
「パウダーには、通常の火薬。弾頭内部に液体窒素が入っている。持ち運べるように、中身はドライアイスとになっていて、物体に当たった時に砕けるって仕組みみたいだけど…詳しくはよく分からないからな…、んで…、冷却弾を撃って、強制冷却して、生体パーツへのダメージを軽減させたんだ」
「…」
俺は、近くに河があった事を思い出す。
あの河に誘導できたら…。と。
ワタルがプレイしながら、PHOENIXの投げ技を使い河に連れ込むと再び冷却弾を河に打ち込み、ライラプスを停止させた。
PHOENIXがライラプスに近づいていき、ある特定のコマンドを入力する。
ライラプスのコックピットハッチの奥にある蓋が開き、筒が飛び出してきた。
その筒を掴み、停止したライラプスをPHOENIXの固有技で撃破した。
そのあと、シナリオは進み、楓が入れられていた筒と同じ筒を開けると、ゲームのヒロインを救出した。
しかし、ヒロインはこの時に四肢の一部を切除しなければいけない状態になっていた。
それを見た俺は、楓の最後が何度もリフレインした。
俺の楓。
腕の中で消えた楓…。
「…レオン大丈夫…じゃないな…」
「…悪い、俺が頼んだのに」
「いいよ…、やっぱりライラプスと戦う前に何とかするっていう選択肢しかないな…」
「出来るのか?」
「このゲームではな。ライラプスの出現条件を一個でも無くせれば可能だ」
「というと?」
「元々、ライラプスはPHOENIXが所属している組織に機体を卸している町工場の製品で、PHOENIXとは兄弟機になる。初期生産時のゲーム内イベントで、町工場が襲撃を受けて、機体が奪取されるんだが、町工場を防衛するまたは、奪取されたとしても一回目の襲撃時に撃破出来たら、ライラプスはこれ以降出現しなくなる」
思い返せば、襲撃されたのは楓が入院した時だ。
俺の帰宅した家に楓が無理矢理帰って来て、蜻蛉返りした時。
あの時、病院に先回り出来たら…。
俺は記憶を総動員しながら、ワタルに質問をした。
「…ワタル、ライラプスは機体を透明化出来るか…?」
「ミラージュモードだろ? 出来る。あれは、可視光線と錯覚を利用したマジックみたいなもんだ。昔、映画でさ、インビジブルっていう作品あったの知らない?」
「それは、知らない」
「内容は透明人間になった主人公が周りの人間を殺していくっていう内容なんだけどさ、透明人間になったとしても、その場には存在しているからさ…、影とかで追跡できるから冷静になれば対処出来る」
たしかに、あの透明化は不完全だった。
歩いて動けば、空間は歪んだし、影もあった。
「…ようは、何か目印をつけた上で、対処したらいいからペイント弾を使ったりしたら、かなり有効だと思う」
ワタルに言われ、俺は以前フユキに誘われて参加したサバゲーを思い出した。
少しづつ、彼女に近づいている…そんな気がした。
つづく
「その洗脳については、書かれていないからそこは、関係ないな。ライラプスは、元々主人公機になる予定だった機体なんだけど、ゲーム開発のプロデューサーに却下されたんだ」
ライラプスの機体デザインとPHOENIXの機体デザインが描かれたページを見せながらワタルは説明してくれた。
PHOENIXがライバル機、ライラプスが主人公機。
確か、リンが自分の地位や立場を誇示する為にテロ組織に加入したと言っていた。
そこは、影響を受けたのだろう。
ワタルはゲームデータをノートパソコンに移し替えるツールを使い、移した後にパソコン用のゲームコントローラーを持ってきた。
それをノートパソコンにセットした。
「ライラプスの基本性能を教える。ライラプスは、近接戦型ブレイブ。武装が、二刀流で戦ってくるんだけど…、攻撃して来ないし、回避行動をしてくる。な、ん、だ、け、ど…、こっちも改造コードを使って無理矢理倒す」
ワタルがそう言うと、キーボードにとあるコードを入力した。
「ライラプスは、冷却装置がやばいんだ。パソコンで説明すると、パソコンは自身を起動し、作動する為には常に冷却しながら動かさないとオーバーヒートする。ライラプスは、その冷却装置に難がある。さらに、生体パーツをコックピットの裏側にある格納室に入れて演算処理のパーツにする。具体的には、恐らく脳へ直接電磁パルスを送って、強引に使用すると言う方法。んで、生体パーツにされると中が高温で生きたまま焼き殺されるか、脳が破壊されて死ぬかの二択になる…」
ワタルがツラツラと説明してくれたが、甦る楓の最後。
俺は、息を吸い込み、ゆっくり吐いた。
「大丈夫か? ライラプスがレオンの世界にもいたんだな…。まあ、何にしても試しに戦ってみるか…」
ワタルがそう言うと、ゲームを起動し、ライラプスを出現させる。
ワタルがプレイしながら、さらっと言う。
「そういえばさ、見つけたPHOENIXを整備してくれていた颯斗がさ、見た事ないパーツがいっぱい付いているって言っていてさ、ドライバーIDをゲームに忠実にセットしたら変形するんじゃねーかな?って言ったら、レオン連れてこいって言われたんだけど、明日レオン仕事だろ? 週末にって言っといたけど、予定大丈夫?」
「…構わないよ」
ライラプスの戦闘シーンを見ていると、ライラプスは移動中、生体パーツのライフゲージが減り続ける。
それを見て、ワタルが弾を切り替えて、PHOENIXに攻撃をさせるとライフゲージが回復した。
「今、何をしたんだ?」
「冷却弾を打ち込んだ」
「冷却弾って?」
「銃弾の仕組みはレオンは知っているだろう?」
勿論知っている。
知らずに使うなんて恐ろしい事は出来ない。
銃弾はカートリッジ(弾薬/実包)は、弾頭(弾丸)、ケース(薬莢)、パウダー(火薬 / 装薬)、プライマー(雷管)で構成されている。
銃のファイアリングピン(撃針)が弾薬のプライマー(雷管)を叩くと、プライマー内部の火薬が燃焼する。この火薬は圧力が加わると燃焼する火薬(起爆薬)。
プライマーの火薬が燃焼すると、薬莢内のフラッシュホール(伝火孔)と呼ばれる小さな穴を火花や燃焼ガスが通過し、パウダー(火薬 / 装薬)に引火して激しく燃焼する。
パウダーが燃焼を始めると、発生した燃焼ガスにより内部圧力(腔圧)が高まり、弾頭が押し出されてバレル(銃身)の中で加速し発射される。
引き金を引く間に、この工程を経ている。先人達に感謝しかない。
「パウダーには、通常の火薬。弾頭内部に液体窒素が入っている。持ち運べるように、中身はドライアイスとになっていて、物体に当たった時に砕けるって仕組みみたいだけど…詳しくはよく分からないからな…、んで…、冷却弾を撃って、強制冷却して、生体パーツへのダメージを軽減させたんだ」
「…」
俺は、近くに河があった事を思い出す。
あの河に誘導できたら…。と。
ワタルがプレイしながら、PHOENIXの投げ技を使い河に連れ込むと再び冷却弾を河に打ち込み、ライラプスを停止させた。
PHOENIXがライラプスに近づいていき、ある特定のコマンドを入力する。
ライラプスのコックピットハッチの奥にある蓋が開き、筒が飛び出してきた。
その筒を掴み、停止したライラプスをPHOENIXの固有技で撃破した。
そのあと、シナリオは進み、楓が入れられていた筒と同じ筒を開けると、ゲームのヒロインを救出した。
しかし、ヒロインはこの時に四肢の一部を切除しなければいけない状態になっていた。
それを見た俺は、楓の最後が何度もリフレインした。
俺の楓。
腕の中で消えた楓…。
「…レオン大丈夫…じゃないな…」
「…悪い、俺が頼んだのに」
「いいよ…、やっぱりライラプスと戦う前に何とかするっていう選択肢しかないな…」
「出来るのか?」
「このゲームではな。ライラプスの出現条件を一個でも無くせれば可能だ」
「というと?」
「元々、ライラプスはPHOENIXが所属している組織に機体を卸している町工場の製品で、PHOENIXとは兄弟機になる。初期生産時のゲーム内イベントで、町工場が襲撃を受けて、機体が奪取されるんだが、町工場を防衛するまたは、奪取されたとしても一回目の襲撃時に撃破出来たら、ライラプスはこれ以降出現しなくなる」
思い返せば、襲撃されたのは楓が入院した時だ。
俺の帰宅した家に楓が無理矢理帰って来て、蜻蛉返りした時。
あの時、病院に先回り出来たら…。
俺は記憶を総動員しながら、ワタルに質問をした。
「…ワタル、ライラプスは機体を透明化出来るか…?」
「ミラージュモードだろ? 出来る。あれは、可視光線と錯覚を利用したマジックみたいなもんだ。昔、映画でさ、インビジブルっていう作品あったの知らない?」
「それは、知らない」
「内容は透明人間になった主人公が周りの人間を殺していくっていう内容なんだけどさ、透明人間になったとしても、その場には存在しているからさ…、影とかで追跡できるから冷静になれば対処出来る」
たしかに、あの透明化は不完全だった。
歩いて動けば、空間は歪んだし、影もあった。
「…ようは、何か目印をつけた上で、対処したらいいからペイント弾を使ったりしたら、かなり有効だと思う」
ワタルに言われ、俺は以前フユキに誘われて参加したサバゲーを思い出した。
少しづつ、彼女に近づいている…そんな気がした。
つづく