~Maple tree~ VI-5
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「… 楓さんと旦那さんの出会いは?」
俺がそう尋ねる。かなり配慮に欠ける質問だ。
「…私、彼と出会った時、20歳でした。私は当時金融機関に働いていました。海外赴任を新人なのに任されて、生活にてんてこ舞いだった時にうっかり駐禁を取られたんです。その時に出会ったのが、彼でした」
よくあるベタな出会い方だ。
もし、俺があのままラクーンシティにいたら楓には逢わなかったかもしれない。
「最初は…、すごいイジワルで、嫌な人だったんですが…、私が彼を少しづつ…好きになっていって…」
「大体分かった…」
皆まで言わなくても、よくある出会い方だ。
「その彼とはいつ出会ったんだ?」
「…1998年です。確か…秋でした。確か…西アメリカの方から赴任してきて…初めて、こっちで仕事したのが私の駐禁だったんです…」
「結婚早かったんだな…」
「…実は…デキ婚なんです」
「…なるほど」
「私が妊娠して。彼と結婚しました。でも、彼…、時々変な事を言っていました」
「変な事?」
「はい…、時々、聞いたことがない街の名前を言っていたり、あとは…、ゾンビがどうのこうのって…」
俺はその言葉を聞いて、ワタルに相談することが増えた。
それは、俺が知っている俺の過去。
1998年に体験したバイオテロ。
熱燗を一本開ける頃には、楓は完全に酔いつぶれており、俺は二人分のお代を支払い、店主に手伝ってもらって彼女をおぶって帰り道を歩いていく。
寒空の下。ビルや様々な店が店じまいと、街が眠りについていく。
俺の楓が消えていった日。夢ならよかったのになと何度も思った。朝起きたらまた、君がいて、また俺の名前を呼んでくれる気がしたから。
また、いつ君に会えるのかなと思いながら、歩いていく。
おぶっている彼女は、俺の楓ではない。
俺が会いたい楓ではない。
必ず、迎えに行くから…。
つづく
俺がそう尋ねる。かなり配慮に欠ける質問だ。
「…私、彼と出会った時、20歳でした。私は当時金融機関に働いていました。海外赴任を新人なのに任されて、生活にてんてこ舞いだった時にうっかり駐禁を取られたんです。その時に出会ったのが、彼でした」
よくあるベタな出会い方だ。
もし、俺があのままラクーンシティにいたら楓には逢わなかったかもしれない。
「最初は…、すごいイジワルで、嫌な人だったんですが…、私が彼を少しづつ…好きになっていって…」
「大体分かった…」
皆まで言わなくても、よくある出会い方だ。
「その彼とはいつ出会ったんだ?」
「…1998年です。確か…秋でした。確か…西アメリカの方から赴任してきて…初めて、こっちで仕事したのが私の駐禁だったんです…」
「結婚早かったんだな…」
「…実は…デキ婚なんです」
「…なるほど」
「私が妊娠して。彼と結婚しました。でも、彼…、時々変な事を言っていました」
「変な事?」
「はい…、時々、聞いたことがない街の名前を言っていたり、あとは…、ゾンビがどうのこうのって…」
俺はその言葉を聞いて、ワタルに相談することが増えた。
それは、俺が知っている俺の過去。
1998年に体験したバイオテロ。
熱燗を一本開ける頃には、楓は完全に酔いつぶれており、俺は二人分のお代を支払い、店主に手伝ってもらって彼女をおぶって帰り道を歩いていく。
寒空の下。ビルや様々な店が店じまいと、街が眠りについていく。
俺の楓が消えていった日。夢ならよかったのになと何度も思った。朝起きたらまた、君がいて、また俺の名前を呼んでくれる気がしたから。
また、いつ君に会えるのかなと思いながら、歩いていく。
おぶっている彼女は、俺の楓ではない。
俺が会いたい楓ではない。
必ず、迎えに行くから…。
つづく