~Maple tree~ VI-5
あなたの名前を入れてね
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ハヤトに案内され、連れてこられたのは店の裏にある大量に車が保管されている敷地だった。
敷地の中を進むと、廃車になりそうなくらいの車が並ぶ中で比較的新しい車両が置かれていた。
その車両を見た俺とワタルはお互い目を見合わせた。
「PHOENIX…?!」
ワタルと同じタイミングで言った言葉に、ハヤトがこちらを見てきた?
「何? PHOENIX? この車の事?」
ハヤトがそう聞くと、ワタルは「そう!」と言った。
「ど、どこでこれを?」
俺が矢継ぎ早に聞くと、ハヤトがPHOENIXを手に入れた経緯を説明してくれた。
このPHOENIXは18年前に鴨川で見つけたというのだ。
鴨川にて、ある秋の日。
深夜。当時ミツルギ重工のオーナー、ハヤトの父親が個人で所有していたレッカー車を使い引き上げたと言う。
引き上げた際に、中にあったIDを持って来てくれたハヤト。
それを見て、俺とワタルは息を飲む。
それには、俺の名前がしっかりと書かれていた。
「…ワタル…これはどういう事だ…」
「…18年前って言っていたよな?! 18年前って事は…、1998年だ! 1998年ってレオンは何かあったか!」
「ラクーン事件以外には…何も…」
「…違う、それ以外! レオンをこの世界に呼んだのは、楓さんだと俺、思うんよ! レオンが愛した楓さんは、何かして欲しくて、レオンに託したんだ」
俺に託した事…。楓は俺に何をして欲しかったんだ?
ハヤトにPHOENIXを譲って欲しいと頼み込むと、ハヤトはあっさり快諾した。
ただ、条件として車体の色が気に入らないからという理由で、赤い色から白い色にすると言われたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
PHOENIXを譲ってもらうのは、いいが置き場所もないのでハヤトの自宅にあるガレージにて預かってもらう約束をした。
しばらく忙しかったり、考える事があり過ぎて、PHOENIXの存在を忘れていたが俺はここに来た意味を見出さないといけない。
ワタルが言っていた。
ここに来たのは理由があると。
楓は俺に何をして欲しかったんだろうか。
ワタルとディーラーの元を去る頃にはすっかり夕方になっていた。
ワタルは研究室で機器トラブルが起きた為、俺と別れた。
俺は、ワタルに夕食の買い出しを頼まれてワタルが好きな弁当屋に立ち寄り、ワタルが好きな惣菜を買い、街中を歩いて行く。
すると、駅前にあるリアカーを改造した店のようなものがあり、皆がこちらに背を向けて座っているのが見える。
その中に見た覚えがある背中があった。
「楓…さん?」
俺が他人行儀にそう呼ぶと、彼女はちろりという熱燗を飲む際に使用する酒器を片手にすっかり出来上がった様子で振り返った。
「…ケネディさん、こんばんは〜、ひっく…」
熱燗は楓に用意してもらい飲んだ事がある。
彼女は俺に日本文化の押し売りもしないが、フユキに日本酒を貰った時に用意してくれた。
「何しているんだ?」
「何って、見たらわかるでしょうよ!! 飲んでいるんですよ!! 飲まずにやってられないって! きゃっはっはっ!」
彼女の出来上がりっぷりに、屋台のカウンターには空になった徳利が数本置かれ、店主が困った様子で俺を見た。
「お客さん、飲み過ぎですって…」
俺もそれに倣うように彼女に帰るように促す。
「娘さんが心配するから、帰りましょう?」
俺が言うと、彼女はちろりを片手に「いや」と言う。
俺は彼女の隣に座ると、店主に彼女と同じ物をと頼む。
俺の前に出された徳利とちろり。
ちろりに日本酒を注ぐと、日本酒の独特の香りと湯気があがる。
楓は俺を尻目にグイッと酒を煽る。
「…何かあったのか?」
俺がそう言うと、楓は鼻を啜った。
「日曜日…、いつも夕方のニューヨークで、彼と約束してよく外食に行きました…」
この世界の楓も死んだ誰かを想い、縋っている。
俺の世界の楓は、父親、母親を失い、俺が死にかけた時に、捨て身の行動をし、俺を助けてくれた。
彼女のくれた命が自分の胸の奥に宿っていると思えたら、暖かくなった。
敷地の中を進むと、廃車になりそうなくらいの車が並ぶ中で比較的新しい車両が置かれていた。
その車両を見た俺とワタルはお互い目を見合わせた。
「PHOENIX…?!」
ワタルと同じタイミングで言った言葉に、ハヤトがこちらを見てきた?
「何? PHOENIX? この車の事?」
ハヤトがそう聞くと、ワタルは「そう!」と言った。
「ど、どこでこれを?」
俺が矢継ぎ早に聞くと、ハヤトがPHOENIXを手に入れた経緯を説明してくれた。
このPHOENIXは18年前に鴨川で見つけたというのだ。
鴨川にて、ある秋の日。
深夜。当時ミツルギ重工のオーナー、ハヤトの父親が個人で所有していたレッカー車を使い引き上げたと言う。
引き上げた際に、中にあったIDを持って来てくれたハヤト。
それを見て、俺とワタルは息を飲む。
それには、俺の名前がしっかりと書かれていた。
「…ワタル…これはどういう事だ…」
「…18年前って言っていたよな?! 18年前って事は…、1998年だ! 1998年ってレオンは何かあったか!」
「ラクーン事件以外には…何も…」
「…違う、それ以外! レオンをこの世界に呼んだのは、楓さんだと俺、思うんよ! レオンが愛した楓さんは、何かして欲しくて、レオンに託したんだ」
俺に託した事…。楓は俺に何をして欲しかったんだ?
ハヤトにPHOENIXを譲って欲しいと頼み込むと、ハヤトはあっさり快諾した。
ただ、条件として車体の色が気に入らないからという理由で、赤い色から白い色にすると言われたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
PHOENIXを譲ってもらうのは、いいが置き場所もないのでハヤトの自宅にあるガレージにて預かってもらう約束をした。
しばらく忙しかったり、考える事があり過ぎて、PHOENIXの存在を忘れていたが俺はここに来た意味を見出さないといけない。
ワタルが言っていた。
ここに来たのは理由があると。
楓は俺に何をして欲しかったんだろうか。
ワタルとディーラーの元を去る頃にはすっかり夕方になっていた。
ワタルは研究室で機器トラブルが起きた為、俺と別れた。
俺は、ワタルに夕食の買い出しを頼まれてワタルが好きな弁当屋に立ち寄り、ワタルが好きな惣菜を買い、街中を歩いて行く。
すると、駅前にあるリアカーを改造した店のようなものがあり、皆がこちらに背を向けて座っているのが見える。
その中に見た覚えがある背中があった。
「楓…さん?」
俺が他人行儀にそう呼ぶと、彼女はちろりという熱燗を飲む際に使用する酒器を片手にすっかり出来上がった様子で振り返った。
「…ケネディさん、こんばんは〜、ひっく…」
熱燗は楓に用意してもらい飲んだ事がある。
彼女は俺に日本文化の押し売りもしないが、フユキに日本酒を貰った時に用意してくれた。
「何しているんだ?」
「何って、見たらわかるでしょうよ!! 飲んでいるんですよ!! 飲まずにやってられないって! きゃっはっはっ!」
彼女の出来上がりっぷりに、屋台のカウンターには空になった徳利が数本置かれ、店主が困った様子で俺を見た。
「お客さん、飲み過ぎですって…」
俺もそれに倣うように彼女に帰るように促す。
「娘さんが心配するから、帰りましょう?」
俺が言うと、彼女はちろりを片手に「いや」と言う。
俺は彼女の隣に座ると、店主に彼女と同じ物をと頼む。
俺の前に出された徳利とちろり。
ちろりに日本酒を注ぐと、日本酒の独特の香りと湯気があがる。
楓は俺を尻目にグイッと酒を煽る。
「…何かあったのか?」
俺がそう言うと、楓は鼻を啜った。
「日曜日…、いつも夕方のニューヨークで、彼と約束してよく外食に行きました…」
この世界の楓も死んだ誰かを想い、縋っている。
俺の世界の楓は、父親、母親を失い、俺が死にかけた時に、捨て身の行動をし、俺を助けてくれた。
彼女のくれた命が自分の胸の奥に宿っていると思えたら、暖かくなった。