~Maple tree~ VI-5
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今日あった事をワタルに話すべきか迷った。
ワタルは物理学者だ。
ワタルにとって、俺が体験したことは非科学的すぎる。
それに、俺がこの世界にいること自体が非科学的なのだから。
ワタルが職場から帰宅し、一緒に夕食を食べた。ワタルが帰りの道中で購入した『ホットモット』という出来立ての総菜を用意してくれる弁当屋にて購入したおかずと炊いておいた白米とインスタントのミソスープを出された。
彼が用意した食事に問題はなかったが、楓が用意してくれていた食事の有難さがよく分かる。
白米、ミソスープ、から揚げにサラダ。楓とよく食べたメニュー。同じメニューのはずなのに、こんなに味気なかったのかと。
味気ない食事を終え、片付けをする。俺は食器を洗い、ワタルは洗濯物を畳む。
ワタルはそれを片付け、デスクトップタイプのパソコンを起動して、論文の作成の為にミネラルウォーターを2本取り出すと一本を俺に渡した。
「ありがとう」
それを受け取る。
俺はワタルに今日あった事を話そうと口を開こうとした時だった。
「なあ、レオン。来週の日曜日にさ、車見に行かない?」
ワタルに言われ、俺はしどろもどろしながら返事をする。
「…え? あ、わ、わかった」
「どうした? 楓さんの事?」
「…ワタル、これから非科学的な話をする」
「いいよ、何?」
「…今日、不思議な体験をした」
「うん」
「今日、俺は見知らぬご婦人にこれを貰った。夢の中で…」
ワタルにドライバーIDと鍵、そして、分厚い本を見せた。
「…車の鍵と…、何だこれ?」
渡されたドライバーIDを見たワタルは裏を見て、「マジ?」と漏らすと、本棚から一冊の本を取り出す。ビジュアルファンブック。
『閃光のPHOENIX』に登場するPHOENIXのパイロットであるフユキ・タチバナのものだった。
「ひぇー、すんごっ! 非科学的な話を科学的に解明するのが大好きだから、こう言うのは大歓迎だよ! それで?」
俺は今日あった見聞きした事をワタルに説明する。
「…なんか、あれみたいだな。『バックトウザフューチャー』」
「マイケル・J・フォックスの?」
俺が聞くと、ワタルは「それ!」と言った。
「…だが、あれは無理だ…」
「そうだな…、だけど、レオンはあっちの世界からこっちの世界に来ただろう? 何か理由があって来たって言うのは、分かった。それは、こっちの世界の楓さんの娘さんが必要としたからだろ?」
「…」
「こっちの世界のレオンは、911で亡くなっているだろ? この世界では、レオンは茜ちゃんのパパさんとして、生きるはずだったんだよな…、一回楓さんにレオンとの出会いを聞いてみる?」
この世界の俺と楓はどんな出会い方をしたのだろうか。
「…傷口に塩を塗るような行為だろう?」
俺が言うと、ワタルは腕を組んだ。
「…いい機会じゃないのかな? 茜ちゃんは、実はそれ知らないんだよ。楓さんが何も話していないみたいでさ…」
「…」
俺は、ミネラルウォーターを煽る。
「関係ないけど、楓さん達ウチの右隣に住んでいるから」
思わず、ミネラルウォーターを噴き出した。
「おー、マーライオン?」
「ゲホッ、ゲホッ…」
俺が咽せていると、隣の部屋から罵声が聞こえて来た。
「…?」
「…いつも、親子で喧嘩している…」
ワタルがそう零すと、ドアが開いた音がすると誰かが走って飛び出して行ったのが分かる。
俺は楓が部屋から飛び出して行ったのを思い出した。
俺は、ワタルに目配せをした。
「行ってくる…」
俺は外に出ると共有廊下を走り去る、アカネを追いかけた。
アカネはエレベーターに乗り込もうとするアカネの手首を掴んだ。
「待て! アカネ!」
「ちょっ!? な、何よ?! 離してよ!」
初めて名前を呼んだ。
この世界の俺の娘の名前だ。
「…もう、夜遅い。君のお母さんが心配する」
すると、アカネは俺の左脛目掛けて、前蹴りをいれてきた。
右足を宙に浮かせ、その蹴りを防いだ。
「ちょ! なんなんっ?!」
「どうした?」
「アンタに関係ないじゃん!」
「関係ないのは、確かだ。だけど、女の子が一人で夜に行動するのはよろしくない」
「…っ!? 私、空手やっているから! 平気だよ!!」
「…ならば、君の師匠はなっちゃいないな」
アカネはバツが悪そうな顔をした。
「…ちょっと話聞いてくれる?」
アカネがそう切り出した。
ワタルは物理学者だ。
ワタルにとって、俺が体験したことは非科学的すぎる。
それに、俺がこの世界にいること自体が非科学的なのだから。
ワタルが職場から帰宅し、一緒に夕食を食べた。ワタルが帰りの道中で購入した『ホットモット』という出来立ての総菜を用意してくれる弁当屋にて購入したおかずと炊いておいた白米とインスタントのミソスープを出された。
彼が用意した食事に問題はなかったが、楓が用意してくれていた食事の有難さがよく分かる。
白米、ミソスープ、から揚げにサラダ。楓とよく食べたメニュー。同じメニューのはずなのに、こんなに味気なかったのかと。
味気ない食事を終え、片付けをする。俺は食器を洗い、ワタルは洗濯物を畳む。
ワタルはそれを片付け、デスクトップタイプのパソコンを起動して、論文の作成の為にミネラルウォーターを2本取り出すと一本を俺に渡した。
「ありがとう」
それを受け取る。
俺はワタルに今日あった事を話そうと口を開こうとした時だった。
「なあ、レオン。来週の日曜日にさ、車見に行かない?」
ワタルに言われ、俺はしどろもどろしながら返事をする。
「…え? あ、わ、わかった」
「どうした? 楓さんの事?」
「…ワタル、これから非科学的な話をする」
「いいよ、何?」
「…今日、不思議な体験をした」
「うん」
「今日、俺は見知らぬご婦人にこれを貰った。夢の中で…」
ワタルにドライバーIDと鍵、そして、分厚い本を見せた。
「…車の鍵と…、何だこれ?」
渡されたドライバーIDを見たワタルは裏を見て、「マジ?」と漏らすと、本棚から一冊の本を取り出す。ビジュアルファンブック。
『閃光のPHOENIX』に登場するPHOENIXのパイロットであるフユキ・タチバナのものだった。
「ひぇー、すんごっ! 非科学的な話を科学的に解明するのが大好きだから、こう言うのは大歓迎だよ! それで?」
俺は今日あった見聞きした事をワタルに説明する。
「…なんか、あれみたいだな。『バックトウザフューチャー』」
「マイケル・J・フォックスの?」
俺が聞くと、ワタルは「それ!」と言った。
「…だが、あれは無理だ…」
「そうだな…、だけど、レオンはあっちの世界からこっちの世界に来ただろう? 何か理由があって来たって言うのは、分かった。それは、こっちの世界の楓さんの娘さんが必要としたからだろ?」
「…」
「こっちの世界のレオンは、911で亡くなっているだろ? この世界では、レオンは茜ちゃんのパパさんとして、生きるはずだったんだよな…、一回楓さんにレオンとの出会いを聞いてみる?」
この世界の俺と楓はどんな出会い方をしたのだろうか。
「…傷口に塩を塗るような行為だろう?」
俺が言うと、ワタルは腕を組んだ。
「…いい機会じゃないのかな? 茜ちゃんは、実はそれ知らないんだよ。楓さんが何も話していないみたいでさ…」
「…」
俺は、ミネラルウォーターを煽る。
「関係ないけど、楓さん達ウチの右隣に住んでいるから」
思わず、ミネラルウォーターを噴き出した。
「おー、マーライオン?」
「ゲホッ、ゲホッ…」
俺が咽せていると、隣の部屋から罵声が聞こえて来た。
「…?」
「…いつも、親子で喧嘩している…」
ワタルがそう零すと、ドアが開いた音がすると誰かが走って飛び出して行ったのが分かる。
俺は楓が部屋から飛び出して行ったのを思い出した。
俺は、ワタルに目配せをした。
「行ってくる…」
俺は外に出ると共有廊下を走り去る、アカネを追いかけた。
アカネはエレベーターに乗り込もうとするアカネの手首を掴んだ。
「待て! アカネ!」
「ちょっ!? な、何よ?! 離してよ!」
初めて名前を呼んだ。
この世界の俺の娘の名前だ。
「…もう、夜遅い。君のお母さんが心配する」
すると、アカネは俺の左脛目掛けて、前蹴りをいれてきた。
右足を宙に浮かせ、その蹴りを防いだ。
「ちょ! なんなんっ?!」
「どうした?」
「アンタに関係ないじゃん!」
「関係ないのは、確かだ。だけど、女の子が一人で夜に行動するのはよろしくない」
「…っ!? 私、空手やっているから! 平気だよ!!」
「…ならば、君の師匠はなっちゃいないな」
アカネはバツが悪そうな顔をした。
「…ちょっと話聞いてくれる?」
アカネがそう切り出した。