Maple tree ~Gentle time~XIX-2
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ユウキにそう言われ、俺はそれに目を逸らした。
俺は楓を幸せに出来ているのだろうか? と。
今まで、楓は俺に様々な表情や感情を見せてきた。
感謝、好意、慈悲、愛情、悲哀、懺悔…。
そして、涙と俺への罪悪感。
俺は楓が好きだ。
ずっと。
あの賃貸の部屋で楓にキスをした日から…。
ずっと、好きだ。
楓は俺の事を好きなのだろうか?
「課長?」
ユウキは小首を傾げながらそう尋ねて来た。
「…ありがとう、ユウキ」
俺がそう返答すると、ユウキはさらに顔を赤らめた。
「あ、わ、私! 席に戻りますね」
ユウキは、指定されたオフィスの席に座る。
俺は疑問に思いながらも課長専用の個人オフィスに行くとデスクに見た事がないくらいの量の資料が積み上げられていた。
それを見て、初日にこれか…。と悪態をついてしまった。
何故、自分がここに来たのか。
それがよく分かる。
1998年、通称ラクーン事件と呼ばれたあの事件が世界中のメディアで取り上げられた事でアメリカ政府への非難は世界中から届いた。
今だに、アメリカ政府へラクーン事件の真相の公表を要求する手紙、抗議やラクーン事件で行方不明になった人々の捜索願が後を経たない。
それだけ、たくさんの人間を巻き込み、たくさんの人間の未来を奪った。
クリスマスまであと数ヶ月だったのに。
あの街で俺もクリスマスや新年、様々なイベントをあそこで生きるはずだった。
それなのにだ。
俺は資料達を読み、この日本支部に新設された機動課がどんな状況なのか知る事になる。
「新卒ばかりじゃないか…」
ここに配属された俺の部下達は、なんと全員四年生大学を卒業した者、警察学校での訓練生期間を卒業した者、自衛隊の訓練期間を卒業した者で構成されたメンバーだったのだ。
実銃の使用経験者は5人中3人。
野営、サバイバル訓練を受けた者は5人中1人。
実際の戦闘経験は皆無。つまり、全員素人である。
「はあぁ…」
思わず、ため息が漏れた。
「…何なんだこれ?」
俺やフユキが呼ばれた理由、その輪郭が見えて来た。
俺達はこの新卒達の上官となり、所謂『使える人材』を作る為の指導員であると。
まさか、自分が指導されるのではなく、指導する側になるとは思いもよらなかったが。
クラウザーが俺に指導をしてくれたあの期間を思い出す。
「…俺がカリキュラムを作るのか…まず、そこからから…」
資料をまとめていき、束ねて、綴じる。
この単純なようで、重要な作業を延々としていくと、気が付けばもう昼である。
俺は楓を幸せに出来ているのだろうか? と。
今まで、楓は俺に様々な表情や感情を見せてきた。
感謝、好意、慈悲、愛情、悲哀、懺悔…。
そして、涙と俺への罪悪感。
俺は楓が好きだ。
ずっと。
あの賃貸の部屋で楓にキスをした日から…。
ずっと、好きだ。
楓は俺の事を好きなのだろうか?
「課長?」
ユウキは小首を傾げながらそう尋ねて来た。
「…ありがとう、ユウキ」
俺がそう返答すると、ユウキはさらに顔を赤らめた。
「あ、わ、私! 席に戻りますね」
ユウキは、指定されたオフィスの席に座る。
俺は疑問に思いながらも課長専用の個人オフィスに行くとデスクに見た事がないくらいの量の資料が積み上げられていた。
それを見て、初日にこれか…。と悪態をついてしまった。
何故、自分がここに来たのか。
それがよく分かる。
1998年、通称ラクーン事件と呼ばれたあの事件が世界中のメディアで取り上げられた事でアメリカ政府への非難は世界中から届いた。
今だに、アメリカ政府へラクーン事件の真相の公表を要求する手紙、抗議やラクーン事件で行方不明になった人々の捜索願が後を経たない。
それだけ、たくさんの人間を巻き込み、たくさんの人間の未来を奪った。
クリスマスまであと数ヶ月だったのに。
あの街で俺もクリスマスや新年、様々なイベントをあそこで生きるはずだった。
それなのにだ。
俺は資料達を読み、この日本支部に新設された機動課がどんな状況なのか知る事になる。
「新卒ばかりじゃないか…」
ここに配属された俺の部下達は、なんと全員四年生大学を卒業した者、警察学校での訓練生期間を卒業した者、自衛隊の訓練期間を卒業した者で構成されたメンバーだったのだ。
実銃の使用経験者は5人中3人。
野営、サバイバル訓練を受けた者は5人中1人。
実際の戦闘経験は皆無。つまり、全員素人である。
「はあぁ…」
思わず、ため息が漏れた。
「…何なんだこれ?」
俺やフユキが呼ばれた理由、その輪郭が見えて来た。
俺達はこの新卒達の上官となり、所謂『使える人材』を作る為の指導員であると。
まさか、自分が指導されるのではなく、指導する側になるとは思いもよらなかったが。
クラウザーが俺に指導をしてくれたあの期間を思い出す。
「…俺がカリキュラムを作るのか…まず、そこからから…」
資料をまとめていき、束ねて、綴じる。
この単純なようで、重要な作業を延々としていくと、気が付けばもう昼である。