私は玄関でお見送りをした後に、家に戻りました。

　真新しい家。前に此処にあった古くて、ボロい日本家屋とは大違いの最新の設備の家。

　アメリカで住まわさせていただいていたあの家も元々はアメリカの昔ながらの家だったそうで痕跡がたくさんありました。

　アメリカの家は『赤毛のアン』の舞台になったプリンスエドワード島という島にあるグリーンゲイブルズにあるアンが少女時代、青春時代を過ごした緑が映える家によく似ていて、それに気が付いた時は嬉しくて、レオンさんにお話しをしたものです。

　この家は、日本らしいといえば日本らしいのですが洋式が採用されていました。

　私は家事を済ませます。アメリカの家よりは小さいためか、家事も1時間ほどであらかた終わってしまいました。

　まだ、9時過ぎ。

　私はリビングルームにあるソファに腰掛けます。

　左手の薬指にある指輪を見つめます。
　お揃いのティファニーの指輪。

　私はそれを見て、また泣いてしまいました。
　
　色々な事がありました。
　理不尽だった事、悲しかった事、辛かった事…。

　でも、それと同じくらい、いえ、もっといい事もありました。

　レオンさんと結婚できた事、誰かに愛される喜び、誰かに必要とされる事の嬉しさ。

　私は1人静寂のリビングルームで今あるぐちゃぐちゃの感情を整理するのです。

　落ち着いて、深呼吸をします。

　大丈夫、私は…。

　幸せになってもいいのです…。






つづく