レオンさんが日本に住む。
　まるで、夢のような話です。

　あのワシントンD.C.の赤い屋根のお家に住んでいた時に、レオンさんと他愛もない話を一緒にしていた時の事です。

　確か、それは一緒にベッドに潜り込んで寝る前のルーティンになっている夜のお話の時間の際のこと。

　レオンさんが急に。

「楓と日本でも暮らしてみたい」

　と言った事です。
　レオンさんはお仕事柄、無理な事くらい私にも分かります。

　だって、レオンさんは…。
　アメリカ合衆国の諜報員です。国家公務員で、大統領の剣と言われているDSOのメンバーの1人です。

　一度お別れをし、再びレオンさんに出会ってから一緒に住むまでの数週間、一度別れてからまた会うまでの空白の期間を埋めるように、お互いの話をたくさんしました。

　本当に些細な事から、スノウくんの子犬時代の粗相の話、スノウくんがレオンさんの部屋の真ん中で粗相をした話など…。

　その際にレオンさんは、私に今の職場が新しくなって、新しいグループに移動したと誤訳を私がしてしまい、レオンさんが何かの音楽バンドに入ったのだと思い、「何を演奏するんですか？」とか「チケットはどこで売っていますか？」と聞いたところ、レオンさんに笑われてしまいました。

　それから、DSOという新しいチームに入った事を知りました。

　彼も私も変わったのです。

　そして、ひょんな事からレオンさんと日本で暮らす事になりました。

　なんと、レオンさんがDSOに所属したまま、HOFに加入するという二足の草鞋をする事になったのです。

　私はまだ体調も万全ではありません。
　最初は、HOF日本支部が運営する小学校で教育職員として働こうとしたのですが…。

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　あの後…。レオンさんが、私を追いかけてきてくれて、レオンさんから説明を受けました。

　レオンさんは、私がレオンさんにだけ働かせるなんて出来ませんから私も働きますと言うと。

「ダメに決まっているだろうが！」と怒られてしまいました。

　理由は、私のこの数週間の変化についてです。

　あの村での凌辱事件、テラグリジア事件、そして…、あのHOFでのアラクネさん達が起こした事件…。全てにおいて私は被害者になり、精神的に著しいダメージを受けてしまいました。

　レオンさんは、私が体調が悪かったり、本当は落ち込んでいる場面をたくさん見てきて、予防線を張ろうとしていました。

　レオンさんは、「日本にいる間は、主婦業に専念して」と言ってきました。