司類SSまとめ

神代類は大人びた青年であるとされる。常に浮かべる微笑みや、捉えどころない性格。どことなく近寄りがたい雰囲気が、彼の世間的な評価をそう定めているのだろう。

しかし司としてはその評価に首を傾げざるを得ない。何故ってそれは、自分に無茶苦茶な提案をしている時の類は咲希よりも子供っぽく頑固であり、果てには泣き落としすら辞さない理不尽な存在であるからだ。

こちらから強気に出れば良いのだろうが、いつもするりと躱され気付けば類の望む方へと誘導される始末。
なにより先日の一件で、類のやりたい最高の演出に完璧なパフォーマンスで答えてやる、と約束し直したのは司だ。どれだけ言葉を重ねようが、断るという選択肢が存在しない時点で最初から負け戦なのだ。

そもそもだ。そもそもではあるが、あの陶器のようなまろい頬が桃色に染まり、常は細められたシトリンをキラキラ期待に染めて見つめられると、司は途端に何も言い返せなくなってしまう。

惚れた弱み、とはよく言ったものである。
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