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SSのログ

「Alles Gute zum Geburtstag!Reuentahl!」
ロイエンタールの誕生日、この日はエリザベートの知り合いのレストランを貸し切りにしてロイエンタール本人とミッターマイヤーとエリザベートで誕生日会を開催した。
プロージットの時はワインだが、この日は皆オクトーバーフェストさながら大きなジョッキにビールを入れて乾杯をする。
「また一つ年を取っただけだというのに」
「それでも、また経験を積めるということじゃないか」
ミッターマイヤーは、まだ少し渋るロイエンタールの肩を持つ。
「ロイエンタール上級大将には、私まだまだ学ぶことがたくさんあります故。こうして共に時を過ごせることを嬉しく思うのです。ですから、年を取る日ではなく……また一年、閣下と時を過ごせることをお祝いする日として今日があるのだと思っていただければ!」
エリザベートは、その美しく白い頬を酒でほんのりと薔薇色に染めつつロイエンタールに言う。
――ファーレンハイトの女じゃなかったら、絶対手を出してたな……。
かつて皇帝の寵姫にと請われた美貌、そしてあの美しすぎるが故に顔で評価されることを嫌って戦場で仮面をしていた彼女の父「蘭陵王」マクシミリアンの娘として違わぬ知略、更に夜伽には事欠かないだろうホーエンツォレルン・アーカイブスの生き字引……。
それに、こうロイエンタールを恐れることなく慕ってくれるエリザベートは陽光の如き眩しさだった。
美しき太陽(Schöne Sonne)……。
ミッターマイヤーとエリザベートは、まさにそう形容すべき対象だった。
だからこそ、二人にはこうして誕生日会を開くのを許すのである。
「ホーエンツォレルン中将は、お上手だ」
「まぁ、お世辞など仰られても何も出ませんよ」
「私は美人から褒めらるのが大好きでね……また、そういう美人を負かすのも好きだ」
ロイエンタールは、向かいに座るエリザベートの髪を指先に絡めた。
「ファーレンハイトに飽きたら、いつでも勝負のお相手をさせていただこう」
「でも、それだときっと一生ないでしょうね」
エリザベートは、さすがに理性的な応答をする。
「ならば、また酒抜きでビリヤードの勝負を致しましょう。あなたは名手であるメルカッツ提督から直接教えられたのだ、あなたの指捌きを見てみたい」
「ロイエンタールとホーエンツォレルン中将の勝負は、名勝負になりそうだな……見逃すと、ずっと後悔しそうだ」
ロイエンタールとミッターマイヤーからそう言われたら、エリザベートは断る気力が失せてしまう。
かくして、エリザベートは自分が自領ウィンボドナから帰省したらロイエンタールとビリヤード勝負をすることになったのだった……。
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