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名前設定
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「ふくらさん、これで良かった?」
「うん、お遣いありがとう」
お遣いを頼まれてくれたこうちゃんから袋を受け取って、キッチンに入る。砂糖とミルクはこっちでー、と買ってきてもらった物をしまったら後はコーヒーを保存用の瓶に詰め替えるだけ。なんだけど。
「うわ、何だこれ。めっちゃ硬いな」
どんなに力を入れて回しても開かない。うーん、困ったなぁ。筋肉自慢達を呼ぶのが早いかなぁ。
瓶と睨めっこしてたら、俺の想い人の名前ちゃんが愛用の白いマグ片手に入ってきた。
「どうしたの?」
「コーヒー詰め替えようとしたんだけど瓶が開かないんだよね。伊沢か須貝さんに頼もうかな」
「貸して」
俺が無理だったから多分無理だよ〜と笑いながら、俺より小さい手に瓶を渡す。
「あ〜、確かにこれは簡単には開かないね〜」
「でしょ?」
ムキになって袖を捲る名前ちゃんの腕は白くて細い。うわぁ、河村の腕より折れそう。
やっぱり人を呼ぼう。須貝さんならサクッと開けてくれそうだし。名前ちゃんの横を通って執務室に繋がる出入口から須貝さんに声をかけると、後ろから名前ちゃんの、ん!と力を入れる声が聴こえた後に、パカッという音。
「あ…ふ、福良..」
「ん?…えっ、開いてる」
2人で顔を見合わせて放心する。俺もかなり驚いてるけど、瓶を開けた本人もまさか開くとは思ってなかったみたいで。俺が思わず吹き出したその時、後ろから須貝さんに声をかけられた。
「どうしたー?らぴー」
「あ、ごめん、やっぱり大丈夫」
「あらそうなの。あ、俺もコーヒーちょうだい」
須貝さんの言葉に返事をした名前ちゃんが手際良くコーヒーを淹れ始めるけど、まだショックが抜け切ってない顔をしてる。
須貝さんがコーヒーを受け取ってデスクに戻ってくのを目で見送って、ついでにコーヒーを入れ替えてくれてる名前ちゃんの隣に立つ。
「今度から瓶が開けれない時は名前ちゃんに頼もうかな」
「やめてよ…」
名前ちゃんは眉を下げて嫌そうな顔をしてるけど、俺は好きな子と一緒にいる口実が1つ増えて嬉しい。
からかう奴が居るからあんまり言いふらさないでね。と眉を下げたまま見つめてくるけど、そもそも誰にも言うつもりなんてなかったから安心して欲しい。あとその顔かわいいね。
「言わないよー」
「ニコニコしながら言われてもなぁ」
笑いながらコーヒーの瓶をしまって今度は自分のココアを淹れ始める名前ちゃんの横顔から目が離せない。キッチンにコーヒーとココアと香りが混ざり合う。マグを持ってお湯とココアパウダーをティースプーンで混ぜる名前ちゃんに思ったままの質問を投げる。
「それ美味しい?」
「ん?うん、私はコーヒーより好き。いれようか?」
「んーん、これがいい」
マグを持ってる手を上から重ねて俺の口元まで寄せる。手、俺のより温かいな。
「あつっ。でも、甘いね」
目をまん丸に見開いて俺だけを真っ直ぐ見るその顔にキスしたいけど、それはまたいつかね。
冷蔵庫から出した冷たいミネラルウォーターとご機嫌でキッチンを後にした。
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