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名前設定
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「名前ちゃんは彼氏とか好きな人に、どういう事されると元気出る?」
ご飯を食べ終わったお昼休憩中。ソファでゆったりとスマホを片手にSNS巡りをしている時だった。同期の中でも特に仲がいい山本くんが左隣に座ったかと思うと、そんな質問を投げられた。
「んー。思いっきりハグして頭撫でてられると、元気出るかな?」
「分かった」
彼女にやってあげるのかな?
スマホの画面へと視線を戻して、また画面をスクロール。掃除する時にやってみようと思えたライフハックにブックマークを付けたら、山本くんが座ったまま身体をこちらに向けたのが視界の端に映る。
「スマホ置いて」
その言葉に、2%の警報が98%の疑問符で隅に追いやられる。
スマホを右脚の横に置いて山本くんに視線を合わせると、それはもう優しく手を引かれて気付けば山本くんの腕の中。思考が着いて行かず呆ける私を無視して、山本くんは腕に力を入れる。意外と強い力にほんの少しのときめきを覚えて、警報が45%まで上がる。
「山本くん?どうしたの?血迷っ、た…」
普段では絶対有り得ない密着度に駆け回る脈を知らんふりをして、正気に戻れと念を込めて出した言葉は、頭に乗せられた手で肝心な所が尻切れとんぼ。
慣れない手つきで優しく頭を滑る手。もしかしなくてもやばい状況に98%分の警報が鼓動音として鼓膜の奥で鳴り響く。
「最近名前ちゃん元気無さそうだったから」
「えっと、ありがとう?」
回った腕を離すことなくそう言葉にする山本くんに辛うじて、よく分からないままありがとうを絞り出す。もう何が何だか分からない。そもそもお昼休憩ってこんなに長かったっけ?
「元気出た?」
「う、ん」
「本当に?」
「ほんとに」
体感15分。実際3分程度。
腕の力を少し抜いたのは良いとして、そのまま私の肩に顎を乗せて喋らないで欲しい。いつも聴いてる声なのに、いつものとは違う気がしてくるのはきっと今だけ。
もうお終いの合図を送ったつもりだが、緩まった腕はそれでも離れることはない。それならば私から離れようと少しだけ身体を後ろに引こうとしたら、また腕に力を入れられて先程より密着度が高くなる。
「僕がまだだからもうちょっと」
あーもう、ダメだ。意識しないとかもう無理。
離れる気のない山本くんにどうやって降参の意を送ろうか。背中に腕を回すのは今は違う気がしてシャツの端っこを摘むと、右耳のすぐ近くでため息つかれて心臓がキュッと締まるような感覚に襲われる。
少ししてやっと離れてくれた山本くんに、
「ドキドキしてくれた?」
なんて聞かれて、心臓や脳が爆発するかと思うのはこの2分後である。