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名前設定
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名前さんには小さなこだわりがある。
例えば、河村さんが食物繊維さえ摂取出来れば紙でもいいんじゃないかとか言い出したり、福良さんが呑みに付き合ってくれるなら結構誰でもいいみたいに。
そういう、"結果が同じなら何でもいい" って部分があんまりない。
「山本ー。私のマグカップ何処にあるか知らない?」
「さっき、残りまだ飲むからって冷蔵庫に入れてなかった?」
「あ、そうだった。ありがとう」
冷たくても、温かくても。使うのは電子レンジ対応の白いマグカップ。
うちに来て一ヶ月はグレーのマグカップを使ってたけど、伊沢さんが割った。次も、その次も。今度は須貝さんが、こうちゃんが…と誰かしらが名前さんのマグカップを割った。
それに毎回怒ることもなければ落ち込むこともなく、皆の"買ってくる"の言葉を優しく断って、数日後には新しいマグカップを使ってる。
「名前さん」
「ん?」
「マグカップにこだわりってあるの?」
「うん。少し大きめだけど、大き過ぎない物」
「へぇー」
確かに色は違うけど、毎回大きさはだいたい同じだなぁ。
「あとは飲み口が厚くなかったり、沿ってなかったり。色々気にする所があるから、自分で買ってくる方が早いんだよね」
「なるほどね」
名前さんのよく利く機転は、その細やかさがあってこそだって今になって気付く。細かい所に目が着く名前さんだから、みんな頼りにしてるんだよね。
「そういえば、明日行きがけにお使い頼まれてたんだった」
「明日の収録用の野菜?」
「そう」
明日、福良さんに出題する野菜クイズ用のおつかいメモをスマホで確認する名前さんは少し難しい顔をしてる。多分この顔はどうしようか考えてる時。
「どうしたの?」
「買う物が結構多くてね。須貝さん辺りに付き合ってもらおうかな」
これは、もしかしなくてもチャンスだったりするんじゃない?
「僕じゃダメかな?」
「え、山本付き合ってくれんの?」
「うん。その代わり、今度僕の買い物に付き合ってくれない?」
「買い物?それくらい全然いいけど」
何か欲しい物でもあるの?と言いたげな顔の名前さんが言葉にする前に答えを差し出す。
「マグカップ。名前さんを見てたら僕も欲しくなっちゃったんだよね。それで、どうせなら名前さんに選んでもらった物を使いたいなぁって」
「なるほどね。私でよければ選んだげる」
自信満々に任せろと胸を張る名前さんは面白くて可愛らしい。
明日の9時と土曜日の11時に駅前集合。と、約束を取り付けてからキッチンから出てく名前さんはご機嫌なのか鼻歌をうたってる。ちょっとだけ下手なのがこれまた可愛い。
これは、明日も土曜日も、ちょっとくらい期待してもいいよね?