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名前設定
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「今日の苗字ちゃん顔色悪くない?」
「そうですか?俺にはいつも通りに見えるけど」
「うーん、僕の気のせいかな」
山本さん、苗字さんのこと大好きですもんねと、ニヤニヤするこうちゃんを撮影部屋へ押し込んで執務室に戻ろうとすると、須貝さんが目の前を通って行った。
あれ?須貝さん、ブランケット持ってるけど寒いのかな。
「名前」
「須貝さん。どうしました?」
「痛てぇ?」
オフィスに戻ると須貝さんがデスクチェアに座る苗字ちゃんの横で床にしゃがんで、苗字ちゃんを見上げる形で何か話してる。須貝さんの一言に驚いたあと泣きそうな顔で小さく頷く苗字ちゃんに今度は僕が驚く。
苗字ちゃんはいつでも誰に対しても、春に咲くチューリップみたいな笑顔でいる人だから、会社の中でも頼れるお兄さんって感じが強い須貝さんの前でもあんな顔をするんだって。前に一度だけ人間関係でゴチャついた時も珍しく人前で泣いてたけど、最近は何かあった感じでもなさそうだったのに。
須貝さんにブランケットをかけてもらう苗字ちゃんを横目にデスクチェアに座って仕事を進めると、須貝さんが今度は僕の向かいに座る山森さんに小さめの声で話しかける。
「山森さん」
「はーい」
「俺、伊沢に許可もらったらちょっと出てくるから、その間名前に温かいココア作ってやってくんない?アイツ今から仮眠室に行くと思うけど、もし仕事してたら仮眠室に押し込んどいて」
「分かりました」
んじゃよろしくお願いしまーす。と、今度は伊沢さんの元へと行く須貝さんの背中を見送る。やっぱり苗字ちゃん体調悪いのかな。..あれ?そういえば須貝さん、いつもは苗字ちゃんって呼ぶのに、さっきは名前で呼んでたような?
暫くして帰ってきた須貝さんは走ったようで息が切れていたし少しだけ額に汗も滲んでた。買ってきた物を片手に真っ先に仮眠室に向かったから恐らく苗字ちゃんのために薬か何か買ってきたんだと思う。それから三十分くらい経って仮眠室から出てきた苗字ちゃんが心配で声をかけてみると、
「もう大丈夫なの?」
「うん、最近寝不足だったんだよね〜」
「無理しちゃだめって言われたでしょ〜」
と照れ臭そうに笑ってくれたから安心して僕も笑う。本当は寝不足じゃないのは分かってるけど、それでも元気になったみたいで良かった。安心したしタイミングもいいしでお昼休憩に出る時、須貝さんと苗字ちゃんが二人で話す姿が何気なく視界に入った。
「名前。大丈夫なんか?」
「もう平気。ありがとう駿貴くん」
あー、そっか。だから須貝さんは迷うことなく直ぐに分かったんだ。
須貝さんに撫でられて嬉しそうな顔をする苗字ちゃんが幸せそうで。僕も少しだけ幸せな気持ちになった。
よーし!今日のお昼は寿司でも食べようかな!