kwmr
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黒や赤の様な官能的な色とは真逆の清楚で柔らかいアイボリー。目に付くような配色ではなく、よく見ないと分からない生地と同じ色で施された花柄の刺繍。ここからの眺めでも分かるくらいそこそこに大きさはあるのに寄せられてない谷間。しなやかなくびれと白く薄い腹。
「ごめん」
臍までじっくりと目に焼き付けてから扉を閉めた。撮影部屋のソファに寝転がり、クッションに顔を埋める。
シャワールームを使おうとディスプレイからやっと目を離したのは、気付けば皆が帰ってしまった後だった。明かりはついてるものの何の音も聴こえてこないシャワールームに、誰かの消し忘れだと思い込んでノックもせず、扉を開けたのが間違いだった。
「…や、ばいなぁ」
不可抗力だったとは言え、何故直ぐ閉めなかったのか。直ぐにでも閉めてしまえば、新雪の様な肌が頭を占めることもなかったし、真っ暗な部屋の中で集まる熱を分散させるために虚無になろうとする必要もなかった筈だ。
と言うか、何で寄りにもよってアイツだけが残ってるんだ。女だぞ、帰れよ。他の連中も気を利かせて帰らせるべきだろ。大きな溜息を一つ付いた後に、三度のノックが聞こえて心臓が大きく跳ねる。
「河村、起きてる?」
頼むから、今は近付かないで欲しい。敢えて返事をせず狸寝入りをしている意図に気付いてくれ。僕の意図を知ってか知らずか無情にもゆっくりと開く扉。背もたれ側へと顔を向けて寝返りを打つ。
ふわりとかけられた毛布は少し冷たい。
「こっちこそごめん。皆帰ったし河村は集中してるから、鍵かけなくても大丈夫だって思った。気にしてないから、河村も気にしないで」
「気にしてないは嘘だろ」
「せめて社交辞令って言ってくれる?」
視線も身体の向きも合わないまま進む会話はいつもの軽さと変わらない。それが逆に怖い。嫌味の一つでも言ってくれれば、身体にじわじわと浸透する罪悪感に、息苦しさまでは感じなかっただろうに。
僕が僕のことでいっぱいいっぱいになってると言うのに、僕が頭を抱えている原因は、ほんの少しだけスペースの空いた足元の方に腰を下ろしやがる。
「寝たいんだけど」
「シャワー浴びるためにシャワー室来たんじゃないの」
「明日にする」
「そっか」
そっか。じゃないんだよ。寝かせてくれ。お前が近くに居ると頭が冴える。
「河村」
「何」
「生娘じゃないし、誰かに見られた所で減るものはないって思ってたんだけど」
河村は例外みたい。
「は?」
「おやすみ」
今のは何だ?嫌味か?それとも、別の何かか?
頭の中で反芻してみるものの、圧倒的にソウイウ経験が少ない僕に、彼女の意図など分かるわけがなく。考えることをやめて寝てしまいたい意思に反して、例外という言葉が居座り続ける。それに続く様に、多少分散した熱がまた集合し、鼓動が耳の奥で主張しだす。許可してないぞ。散れ。
あ゙ー、兎に角今は寝かせてくれ。