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inzm

3/14。 ※宵一視点


 すごいドキドキする、不安で――。

 今日はホワイトデー。きっとあいつからいい物もらってんだろうな……僕からのなんていらないかな……。

 バレンタインの日。蘭丸は僕に「バレンタインなの忘れてチョコ買っちゃったからやるよ。オレはもらったの食べる」なんて照れ隠ししながらチョコをくれた。僕はそう言われるまですっかり忘れていた。
 だから、今日お返しを用意したんだけど、蘭丸の幼なじみで雷門のキャプテンのことが気になってどうも渡す気になれないでいた。

「宵一! 遅くなってごめん」
 待ち合わせ場所に少し遅れて蘭丸がやってきた。
「ううん。全然大丈夫」
「用って何?」
「あ、えっと、今日ホワイトデーじゃん?」
「あぁそうだな。何故かもらったわ」
 え……
「……誰に?」
「神童。なんか女子へのお返しが余ったとかでみんなに配ってた」
「そっか」
 実際のところはわからないけどまぁ良かった。
「あのね、バレンタインにチョコくれたじゃん? そのお返しをさ、もらってほしいんだ」
「え、別にいいのに」
「僕の気持ちの問題だから。はい、これ」
「……ボンフィン?」
 そう、僕は黄色のボンフィンを手渡した。
「僕と色違いでおそろい!」
 腕に付けたピンクのボンフィンを見せる。自然と笑みがこぼれた。
「へぇーサンキュ!」
 そう言いながらボンフィンを付けようとしてるけど苦戦してる。
「貸して」
 だから僕が付けてあげた。
「ありがと」
 なんだか照れくさそうな蘭丸。その姿に思わず笑ってしまう。
「なんだよ」
「別に」
 バレンタイン忘れてて良かったかも。

 不安はなくなったけど結局ドキドキしっぱなしだ。


(12/03/14)
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