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※学パロ


 学祭。
 俺は何故かコスプレカフェでメイド服を着せられている。ちゃんと拒否はしたし、別のを着るはずだったのに、これしかなかったのだ。
「アリババくん!」
 店番中、一番見られたくない人の声がした。
「い、イリヤ……!?」
 慌てて声がした方向を見る。
「えへへ。モルちゃんが教えてくれたから来ちゃった」
「モルジアナのやつ……」
「すっごく可愛いね」
 無邪気に笑うイリヤ。
 絶対からかってる。
「とりあえず、席つけよ。で、メニューからなんか選んで注文して」
「照れてる?」
「はぁ? 別にそんなこと」
 多分、顔真っ赤だと思う。
 どうしていいかわかんねぇよ。
「楽しいね! 何のもうかなー」
 イリヤはニヤニヤしながら席につき、メニュー表を見る。
「何が楽しいんだよ」
「じゃあ、オレンジジュース」
 無視かよ。
「わかった」
「アリババくん、そこは『かしこまりました』だよ?」
 アラジンが横入りしてくる。
 余計なこと言うんじゃねぇよ。あとで覚えてろよ。
「……わかったよ。オレンジジュースですね、かしこまりました」
 俺は逃げるようにその場を離れた。

 学祭終わり。公園でイリヤと会う。
「お疲れ様。楽しかったね! お化け屋敷とかリアルだったし……アリババくん?」
「急に来るなんて卑怯だろ!」
 感情的に言い放って、イリヤの隣のブランコに腰掛けた。
「ん?」
 とぼけた顔も可愛い……って俺何考えてんだ。違う。
「――来てくれてありがとな」
 照れを隠すように俺はブランコを夢中で漕いだ。

「憧れ。」

 ほんとは学祭に来てほしくて、でも言えなかった。彼女と学祭は憧れ。


(13/02/13)

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