ねぇなんでいつも余裕なの？
　ムカつく。


『風邪のせい』


　なんだか頭がぼーっとする。そういえば咳も出るような。
「なぁ熱あるんじゃね」
　そんなことを思ってたらアツヤに言われた。
「え、大丈夫だよ」
　伝わったかなと思いつつ、心配かけたくないので否定する。
「計ってやるから大人しくしとけ」
「え、は？　どうやって計るつもり？」
「こうやって」
　ぐっと近づいて来て頭をごっつんこさせてきた。正確にはおでこをくっつけて熱を計ってきた。
「熱はなさそうか」
　くっつけた頭を離して言う。
「手でいい、じゃん……」
　多分今僕の顔真っ赤だと思う。
「あーわりぃ」
　絶対悪いと思ってない。
　いつも余裕ぶっててムカつく。
　なぁ僕が兄貴だぞ。
　だからアツヤがちょっと離れた瞬間腕をぐっと引っ張って引き寄せてキスしてやった。
「ん……。はっ？　え？」
　やばいすげー戸惑ってる。 声に出てるし。
「仕返し」
　にこって笑う。 今ならなんでもできる気がする。
「し、仕返し……？」
「顔真っ赤だ」
　アツヤの質問は無視してやった。
「それは、兄貴だって、一緒だろ」
「一緒なら平気だね」
　僕が笑ったらまたびっくりして戸惑ってた。いつもと逆。
　たまにはいいよね、僕の勝ちでも。
　それにこれは風邪のせいだよ？

おわり。


頭ごっつんこと腕引っ張るからのキスが書きたかっただけです。


(12/06/24)