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inzm

落下


 地面に倒れこむ少女は屋上から降ってきた。そこそこの勢いで。しかし着地時にぶつかったような衝撃音はなかった。
「!?」
「びっくりした?」
 戸惑う佐久間をよそに少女はけろっとした表情で制服や肌についた土を払う。
「は、はい」
 本当は言いたいことがたくさんあるのに、そう返事をするだけで精一杯だ。今起こっていることに頭がついていかない。
「私ね、死ねないの」
 しばらくの空白の時間ののち少女は話出した。
「いつも、今度こそ死ぬんじゃないかなって思うんだけどね」
「他の方法も試したんですか?」
「試したよ。刺したら血は溢れ」
「ストップ、ストップ」
 聞くべきではなかったと佐久間は後悔した。
「ん? あ、刺激強すぎたかな。ごめんね」
「聞いた俺が悪かったです……こんなこといつも、やってるんですか?」
「そうだよ。楽しいからね」
「どこが楽しいんですか?」
 全く理解が出来ない。
「どこがって言われると難しいね」
「とりあえず見てる方は怖いからやめてください」
「えーだめ?」
「だめです」
「誰も見てなければ大丈夫じゃない?」
「そういう問題ではないです」
 たしかに自分が見なければ、関わらなければ、気にする必要もないのに、どうしてかもうそんなことしてほしくないと思う。
「じゃあ、君が私を楽しませてよ」
「え、」
 唐突な提案に固まる佐久間をよそに少女は話を進める。
「約束だからね、明日も私はここで待ってるから。ばいばい」
 少女は優しい笑みを佐久間に向けて、何事もなかったかのように歩き出していった。


to be continue…?


(17/2/21)
privatterより
前回3年前とかびびる。
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