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inzm

予約束-yoyakusoku- ※宵一視点


 そういえばもうすぐ卒業式だ。卒業したら会えなくなるかな。あと一年先だけど。

 練習試合の帰り道。みんなからこっそり抜け出して蘭丸と一緒に歩く。
「ねぇ蘭丸」
 なんだか不安になって蘭丸を呼ぶ。
「ん?」
「卒業したら第二ボタンちょーだい」
「は?」
「今から予約!」
「なんでだよ」
 そりゃそうだよね。僕らはライバルで友達。
「だってモテそうじゃん」
「いや、そうじゃなくて」
「え、卒業式は好きな人のボタンはもらうイベントじゃないの?」
 あ、言っちゃった。
「え……?」
「ん?どうかした?」
 引かれちゃうのが嫌で気付いてないフリをした。
「いや、オレの聞き間違いだわ」
 なんでそんな寂しそうな目するの?そんな目されたら……
「……聞き間違いなんかじゃないよ?好きだよ?」
 言っちゃった。
「…………」
 引いたよね。
「返事は卒業式までお預けかなーいやでも僕のはもらってね」
 笑ってないと自分を保てなくて、無理やり明るく振る舞う。
「……ねーよ。嫌なんかじゃねーよ。予約も受け付けてやる」
 え、今……
「約束だよ?」
「当たり前だろ。何度も言わせるな。だから、そんな不安そうな目すんな」
 頭をぽんぽんと優しく叩いてくれた。
「えへへ」
 嬉しくて思わず笑みがこぼれた。

 嬉しい2人だけの約束が増えました。
だから、卒業も寂しくないよ。僕らはつながってる。



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