一本の片向き矢印
ジュダルの前でこぼした笑みは本物。でも一人なって急に泣きそうになる。ジュダルがアリババとか言うから今日のこと思い出してしまったのも原因の一つだ。
昼間、目がさめたらアリババが腕に傷をつけていてびっくりした。そのあとも色々あって余りの動揺にアリババが出て行くのを引き留めることが出来なかった。引き留めたって気まずいだけだったかも知れない。でも傷付ける理由が知りたかった。どうすることも出来ないままわたし一人になった。
アリババは何にも知らない。「優しくするのは白龍だけにしろ」なんて言うけどわたしの思いは伝わんないの。届いてもそこで終わりいいことなんてない。
白龍が見てるのはわたしじゃない、モルジアナなんだよ。
そう思うと瞳から涙が溢れ出した。
そのことを思い出すだけで涙が出そうになる。
「おやすみ」
目を閉じた。
次、目を開けたらいつも通りの世界が待ってる。
(2013.1.31)